傑作ノンフィクションで黙殺された吉展ちゃん事件犯人の「反乱」

天皇誕生日の12月23日は、東條英機らA級戦犯7人が巣鴨拘置所で処刑された日でもある。これは歴史通の間ではよく知られた話だが、1971(昭和46)年のこの日、他にも1人、有名な人物が処刑されている事実は歴史通の中でも知る人はマレだろう。その人物とは、あの「吉展ちゃん事件」の犯人、小原保(享年38)である。

この昭和を代表する誘拐殺人事件については、関連書籍や関連映像作品も少なくない。中でも傑作と名高いのが、元読売新聞記者のノンフィクション作家・本田靖春が1977年に上梓した「誘拐」(文藝春秋)だ。

「誘拐」は、1963年3月に東京都台東区の入谷南公園で被害者・村越吉展ちゃん(当時4歳)が誘拐されてから小原が処刑されるまでの顛末を時代の空気感まで再現しながら克明に描いた壮大な作品。小原を自白に追い込んだ警視庁の名刑事・平塚八兵衛ら捜査員たちの奮闘のみならず、犯人・小原保の不遇な人生の軌跡も丁寧に描いているところに感動の最大のツボがある。

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サッカーの名門、ACミランが本田に年俸7億7千万円を払うワケ

12月末でCSKAモスクワ(ロシア)との契約が満了する、日本代表MF本田圭佑のACミラン(イタリア)入団が正式に発表された。背番号は、ファンタジスタ、つまり万能型でファンを魅了する選手でなおかつエースを意味する“10番”。3年半の契約期間で、年俸は約7億7,000万円。

「メッシやクリスチャーノ・ロナルドにも匹敵する厚待遇です。このところ、ACミランは財政難で、大物選手を他チームに放出してなんとか経営を維持できていますが、本田がもってくるはずの日本スポンサーの金は一説には10億円を超えるとも言われます。まさにACミランにとって本田は金になる打ち出の小槌だったのです」(サッカー記者)

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裁判員裁判で無期懲役を宣告された冤罪受刑者の手紙

私のもとには日々、全国の刑務所や拘置所の被収容者から手紙が届く。その多くは無実の罪で獄中生活を強いられている冤罪被害者だ。今回紹介する田中龍郎さん(62)もその一人である。

田中さんは山梨県のショーパブで働きながら、高校生の長男と二人で暮らしていた2010年2月、新聞配達員の知人女性を殺害し、現金約57万円を奪ったとして強盗殺人の容疑で逮捕、起訴された。一貫して無実を訴えたが、2011年11月に最高裁に上告を棄却されて、無期懲役判決が確定。現在は山形刑務所で服役している。

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盛大に開かれた、鹿砦社大忘年会2013

年末恒例となった鹿砦社大忘年会が、今年も盛大に開催された。
会場は7・12の8周年懇親会と同じ、東京都下の割烹料理屋の大広間。
鹿砦社の集まりではおなじみの、受刑者のアイドル、女性デュオPaix2(ぺぺ)に、冒頭で歌ってもらい、「♪元気出せよ」「いいじゃんか!!」と、気勢が盛り上がったところで、つづいて日本料理のコースで会食となった。

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ストーカーに晴れの舞台を奪われた、ミス・インターナショナルの孤独な闘い

12月17日、東京で開催された2013ミス・インターナショナル世界大会に、前年度の優勝者である吉松育美さんの姿はなかった。たった一人の男の行為、そしてそれに翻弄されてしまった主催者の“決断”により、彼女の晴れ舞台は奪われてしまったのである。
通常、前年度のミスは世界大会のあらゆる行事へ参加し、次のミスへの戴冠までが任務となる。しかし、今年の世界大会に吉松さんの姿はなく、なぜか2008年度のミスがその任務にあたっていた。不思議に思っていたところ、ファンの皆さまへの報告とし、12月11日付けで彼女のブログとフェイスブックに驚くべき内容が投稿された。それによると彼女は、大手芸能事務所の役員だという男から、脅迫や嫌がらせ、ストーカー行為を受け、ミス・インターナショナルの協賛企業や、彼女の家族にまで被害が及んでいるという。
その後の会見などで明らかにされたのは、ミス・インターナショナルとなった際に、ある芸能事務所への所属を迫られたが、そこが反社会的勢力との繋がりがあると噂されていることから、吉松さんは“倫理的に”所属を拒否した。それが一連の被害の発端のようだ。

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お散歩JKに、夢はあるのだろうか?

警視庁が、「JKお散歩」で働いている女子高生の補導に乗りだした。
1週間ほど前には、お散歩相手になった女子高生にお金を渡してセックスした54歳の男性が逮捕された。合意の上だったのだろうが、これは児童買春・ポルノ禁止法違反にあたる。
「JKお散歩」とは、1時間7000円前後の料金で、女子高生と散歩できるというサービスだ。秋葉原で制服や私服の少女がチラシを撒いている。神田明神や東京ドームシティに行ったり、ファミレスで話したりする。
16日から、警察官がチラシを撒く少女達に声をかけ、年齢やアルバイトの内容を聞いて補導することを始めた。

女子高生がマッサージする「JKリフレ」が労働基準法違反で摘発されてから、出てきたのが、「JKお散歩」だ。
散歩するだけだから、今のところ取り締まる法律はない。
だが、店舗の中で行われていた「JKリフレ」と違い、1対1になる「JKお散歩」では買春の交渉は行われやすい。そんなのはいやだ、と断る女子高生がほとんどだが、自分から誘いかける者も決して少なくない。

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『島唄』『沖縄ベイ・ブルース』に込められた想い

若い頃、ミュージシャンになりたかった。だが、天性の音痴であった。だから、自分でチューニングする必要のないキーボードを選んだ。それでも、音感をつける必要があると思って音叉を持ち歩いていたことがある。ムダな抵抗だった。
音楽家が表現者としていちばん素晴らしい、とうらやむ気持ちが今でもある。
成功すれば、その楽曲はテレビやラジオ、インターネットを通じて、あまねく広がっていく。ライブをすれば、その場で観客からの反応が得られる。

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電車内の公害、『文春』『新潮』ら週刊誌の吊広告は公共の場に不相応

このような週刊誌の吊広告があるため、電車に乗るのが嫌になるという人は多い。
戦争を挑発したり、差別意識を垂れ流したり、権力に媚びて弱いもの虐めしたり、悪ふざけもいいところで、これでは下品な粘着サイトと変わらない。
また、右左関係なく特定の何かを狙い撃ちして民衆におもねるか、子どもも女性も乗ることを考慮せず卑猥な記事の見出しを書き連ねてあるだけ。
まるで汚物のような週刊誌の見出しを毎日のように見せられてはたまらないし、子供と電車に乗る度に、子供に見せたくない日本の姿だと思う。それが、下品極まりない中吊り広告だ。そういう人たちの率直な意見は、実に正常な感覚によるものだろう。

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社団法人に衣替えした、革命党派「戦旗・共産同」が事実上の活動停止

『エコ&ピース月刊誌Actio』が休刊した、といっても、何のことだか分からないだろう。それは、一般社団法人アクティオの機関誌である。
アクティオの源流は、第2次ブント(共産主義者同盟)崩壊後の1971年に結成された、共産主義者同盟(戦旗派)に発する。
武装闘争を標榜する、革命党派である。

ベトナム戦争が続いていて、日本にある米軍基地が拠点となっていた。安穏とした生活を享受している間に、ベトナム人たちは生活を破壊され、命を奪われていく。そんな思いから、多くの学生や労働者が闘争に起ち上がり、角材や火焔瓶などを手に、機動隊に立ち向かった。

戦旗派は、そのような闘いばかりを行っていたのではない。
かねてから組織内では囁かれてきたことだが、2011年に発刊された『40年目の真実』(創出版)で、その全貌が明らかにされた。
日石・土田爆弾事件を行ったのが、戦旗派であった。
開封すると爆発する仕掛けの小包を、送りつけるという手法。2つは、途中の郵便局で爆発し郵便局員が負傷した。土田国保・警視庁警務部長の家では、届けられた小包が爆発し、夫人が死亡し四男が負傷した。
40年経って明かされたということは、責任のない人間を巻き込んだこの闘争を、自分たちでも誇るべきものとは思えなかったということだろう。
そのため無実の者たちに罪が着せられ、それを晴らすまで、最長10年もの間拘置されることになった。

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世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない

初めて読んだ自叙伝は吉川英治の「忘れ残りの記」だった。中学生の頃だったかと思う。多くの人の例に漏れず「三国志」や「宮本武蔵」に夢中になったが、長編小説はお金がかかるので、短めの本作を図書券で買い、お釣りを小遣いにする意図からだった。

他の吉川作品を読んでも、著者の事は何もわからなかった。中学生でも読みやすい文体から、現代の人だと思っていた。なぜ一度もテレビに出演しないのだろうなどと思っていた。明治生まれの人だということも、自分が生れるずっと前に亡くなっていることもそれまで知らなかった。

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