「仕方ないですよね。私の事件は有名じゃないから……」
殺人事件に巻き込まれ、無実の罪で服役中の冤罪被害者I氏に先日、刑務所で面会した時のこと。彼はそう言って、苦笑した。自ら獄中でまとめた再審請求書を裁判所に提出し、その旨を地元の新聞社に手紙で伝えたが、いっこうにレスポンスがないのだという。このマスコミの冷たさは、自分の事件が有名ではないからだと彼は思っているのである。
マスコミの性質がよくわかっているな、と思った。
「悪名は無名に勝る」という言葉がある。冤罪事件を色々取材していて、この言葉は冤罪被害者にも言える場合があると思うようになった。そのことに気づくきっかけを与えてくれたのは、あの和歌山カレー事件の林眞須美さん(50)である。
今、西日本の某地方で開かれている、ある殺人事件の裁判員裁判。起訴状などによれば、被告人のA氏は恋愛関係のもつれなどから、元交際相手のB子さんに恨みを抱き、その6歳の娘C子ちゃんを殺害した――というのが検察官の主張の筋書きである。これに対し、A氏は捜査段階から一貫して無実を訴え、裁判でも有罪・無罪が争われている。
「NO NUKES 2012」に参加しに、幕張メッセに行った。
冤罪事件を色々取材していると、マスコミの犯罪報道はいかにいい加減かがよくわかる。とくに発生当初や被疑者の逮捕当初にマスコミが大騒ぎした事件はそうだ。過熱する報道合戦の中で事実関係のチェックが杜撰になるのか、誤報や飛ばし記事が多くなりがちなのである。