ウクライナは南欧で偽旗ドローン攻撃を計画している可能性がある

アンドリュー・コリブコ

筆者は、ウクライナが南欧で偽旗ドローン攻撃を行い、ロシアの犯行に見せかける可能性があると主張する。ウクライナには同地域でドローンを運用する能力と、NATOとロシアの対立を激化させる動機があると指摘。偶発的な戦争への発展を防ぐためには何が必要かを指摘する。

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ゼレンスキーには、NATOへの攻撃にロシアが関与したように見せかけなど、最近の過熱した対ロシア警戒論を利用する動機がある。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領とイタリアのグイド・クロセット国防相は、スペインのメディアによる最近の報道を否定した。その報道は、リトアニア国防省に近い匿名の情報源を引用し、CIAはロシアが南欧へのドローン攻撃を計画しているとみている、と主張していた。

その背景にあるのは、ロシアが近くNATOの決意を試すかもしれないという、一部の欧州首脳の間に広がるヒステリー的な観測だ。フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領は以前、こうした議論はEUの利益にとって逆効果だと明言していた。

したがって、前述の当局者たちが、どのような別の思惑があったにせよ、拡散されている論調に乗るのではなく、ストゥブ氏と同じ姿勢を示したことは歓迎すべきことだった。それでも、この話がそもそもメディアに流され、しかもその情報源がリトアニア国防省に近い匿名の人物だった事実は不安を抱かせる。特に、ウクライナによる偽旗作戦が間近に迫っているのではないかとの憶測があるなかでは、なおさらだ。キーウには、NATOへの攻撃にロシアが関与したように見せかけ、これら最近のヒステリーを利用する動機があるからだ。

今年の初め、ウクライナはリビアにあるドローン基地から、地中海にいたロシアの「影の船団」の船舶1隻を攻撃した。また、ウクライナの海上ドローン1機がイオニア海にあるギリシャ領の島に漂着した。この二つの出来事によって、キーウがこの地域で航空ドローンと海上ドローンの両方を運用する能力を持っていることが確認された。

したがってウクライナは、少なくとも欧州のNATO加盟国(E-NATO)にロシアの「影の船団」への取り締まりをさらに積極的に強化させようとして、南欧で偽旗攻撃を行うためにこれらを利用する可能性がある。

この問題に関連して、プーチン大統領は8月、ウラジオストクの太平洋艦隊司令部を訪問した際、「外国船を同じように拿捕する」と報復措置を警告した。こうした相互のエスカレーションは、E-NATOがさらにエスカレーションの段階を上げるために利用する可能性があり、その結果、偶発的に実際の戦争が起きる危険性が高まる。

しかし、ポーランドとベラルーシの外相が10年ぶりに会談したことで、両国関係には予想外の進展が生まれた。別の記事で詳しく説明したように、これは「新冷戦」の緊張緩和につながる可能性がある。

ゼレンスキーは、さまざまな理由から、そうなることを望んでいないかもしれない。その理由の中でも特に重要なのは、長期間延期されてきた選挙を実施する前に、西側から圧力をかけられ、プーチンに対していくつかの痛みを伴う妥協をするよう強要される可能性があることだ。そして、その選挙では、ゼレンスキーは不人気であるため、おそらく権力を失うことになる。したがって、ゼレンスキーには偽旗作戦を行う動機がある。

この動機と、この分析で先に述べたウクライナの能力を合わせて考えれば、ウクライナが南欧に対する偽旗ドローン攻撃を試みるというシナリオには、不安を感じさせるほどの現実味がある。ただし、この脅威には依然として対処可能だ。

たとえそれを未然に防ぐことができなかったとしても、以前引用した「新冷戦」の緊張緩和に関する記事(PDF)で触れられた別の記事が提案しているように、米国、E-NATO、ロシアの間に危機管理のための連絡ルートを設ければ、先に警告した偶発的な実際の戦争を防ぐことができる。

また、この連絡ルートが設置されたというニュースそのものが、ゼレンスキーへの抑止力になる可能性もある。ゼレンスキーが、実行が迫っている可能性のある自らの計画では部分的な緊張緩和を妨げることはできず、その後にウクライナの関与を示す証拠が出れば、かえって裏目に出る可能性さえあると考えるようになれば、計画を思いとどまるかもしれない。

とはいえ、現在、そのような危機管理の連絡ルートは存在していない。そのため、ロシアに責任を負わせるために、ゼレンスキーが南欧に対するウクライナの偽旗ドローン攻撃を承認する機会は、依然として残されている。

したがって、そのような連絡ルートを早急に設ける必要がある。そうしなければ、最悪の場合、ゼレンスキーはこうした手段によって第三次世界大戦を引き起こしかねない。ポーランドとベラルーシの関係に進展が見られるなか、フィンランド、フランス、イタリアが最近のヒステリーに異議を唱えていることで、米国がこの問題を仲介できる可能性は以前より高まっている。

アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年9月30日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』

Source: https://korybko.substack.com/p/ukraine-might-be-plotting-a-false