しばき隊の活動家が森奈津子氏と鹿砦社を訴えた裁判、実名報道の是非が争点、東京地裁立川支部で結審

黒薮哲哉

しばき隊の活動家・A氏が、作家の森奈津子氏と鹿砦社に対して、プライバシーを侵害されたとして、110万円を請求した裁判が、6月2日、東京地裁立川支部で結審した。判決は、7月14日に言い渡される。

提訴の背景は、森氏とA氏の間で行われていたツイッターでの交戦である。しばき隊についての論争の中で、森氏が、A氏が過去に起こした暴力事件の事実を立証する略式命令書をツイッター上で公表したことである。そこには、「被告人を罰金40万円に処する」などと記されている。改めて言うまでもなく、この罰金はA氏が起こした暴力事件の代償である。

略式命令の入手元は、鹿砦社である。鹿砦社は、A氏とその「仲間」が、起こしたある集団暴力事件を断続的に取材してきた唯一の出版社である。これまでしばき隊関連の本を6冊出版している。その中には、森氏が投稿したルポも含まれている。こうした背景があったので、森氏とA氏によるツイッター上の交戦に鹿砦社も注視していたのである。

ちなみに前科に関する事実は、公表が認められる場合と認められない場合がある。認められる場合は、実名を使用する意義と必要性がある場合である。それが認められないケースでは、プライバシー侵害が認定される法理となっている。

◆2024年12月深夜、大阪市北新地で

A氏らしばき隊のメンバー数人が関与した事件は、2014年12月の深夜、大阪市の北新地で起きた。メンバーの中には、当時、カウンター運動の旗手としてマスコミが賞賛していた李信恵氏も含まれていた。暴力事件の背景には、組織内の金銭をめぐるもめごとがあったようだ。

ワインバー(酒場)に入ったA氏らは電話で、当時、大学院の博士課程に在籍していたM君を呼び出した。M君が店に入ると、興奮した李信恵氏がM君の胸倉を掴み威嚇した。一旦は、仲間が割って入ったが、その後、A氏がM君を店外へ連れ出し、およそ40分にわたって殴る蹴るを暴行を加え、瀕死の重傷を負わせたのである。

リンチ直後の被害者М君

これら一連の経緯については、大阪高裁は、判決の中で次のような事実認定を行っている。

「被控訴人(注:李氏)は、Mが本件店舗に到着した際、最初にその胸倉を掴み、AとMが本件店舗の外に出た後、聞こえてきた物音から喧嘩になっている可能性を認識しながら、飲酒を続け、本件店舗に戻ってきたMがAからの暴行を受けて相当程度負傷していることを確認した後、「殺されるなら入ったらいいんちゃう。」と述べただけで、警察への通報や医者への連絡等をしないまま、最後は負傷しているMを放置して立ち去ったことが認められる。

 この間、BやCはAに対し暴力を振るわないよう求める発言をしているが、被控訴人が暴力を否定するような発言をしたことは一度もなく、被控訴人は遅くともMが本件店舗内に戻った時点では、MがAから暴行を受けた事実を認識していながら、殺されなければよいという態度を示しただけで、本件店舗外に出てAの暴行を制止し、又は他人に依頼して制止させようとすることもなく、本件店舗内で飲食を続けていた。このような被控訴人の言動は、当時、被控訴人がAによる暴行を容認していたことを推認させるものであるということができる。(略)(控訴審判決、7P)」

この事件について、森氏と鹿砦社を訴えたA氏の代理人・神原元弁護士は「街角の小さな喧嘩にすぎない」と訴状に記しているが、事実とは著しく異なる。そのことは事件後のM君の顔写真で確認できる。また、M君が録音していた暴行の際の罵声(CD有)からも凄まじい暴力の実態が推測できる。

第一、「街角の小さな喧嘩」であれば、簡易裁判所が40万円の罰金を課すはずがない。また、M君がA氏らに対して起こした民事裁判でも、約110万円の支払命令が下されている。

確かにこの事件をマスコミが報じることはなかったが、それをもって、「街角の小さな喧嘩にすぎない」とは言えない。報道されなかった背景には、カウンター運動に参加している著名人や記者クラブによる組織的な隠蔽工作があったのである。『ヘイト・スピーチとは何か』(岩波新書)の著者で、弁護士の師岡康子弁護士も隠蔽工作に関与した一人である。知人に充てて、事件の隠蔽を依頼するメールを送付している。

筆者の推測になるが、隠蔽工作の背景に国会で、ヘイトスピーチ解消法が成立直前になっていた事情があった。A氏が主導した暴行事件は、どうしてももみ消す必用があったのだ。そこで事件を「無かったこと」にしたのである。

◆しばき隊が関与した暴力事件で、M君は人生の軌道を狂わされた

さて、A氏の暴行を受けたM君は、その後、どのような軌跡をたどったのだろうか。ノンフィクション作家で精神科医の野田正影氏が行った精神鑑定書は、「外傷事件から6年が過ぎているが、被害者は典型的な『精神的外傷後ストレス障害』(PTSD=Post Traumatic Stress Disorder)の精神障害に苦しんでいる」。「本件例は、WHOの診断ガイドラインに基づいても、アメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引き』(DSM-5)に基づいても、疑う余地のない『精神的外傷ストレス障害』である」と結論付けている。

実際、M君は事件後、PTSDに悩まされて、博士論文を執筆できなくなった。事件の残像に苦しめられたのである。そのために内定していた大学での研究職も断念せざるを得なくなった。しばき隊が関与した暴力事件で、人生の軌道を狂わされたのである。その最大の責任が主犯のA氏にあることは論を待たない。

7月14日に言い渡しが予定されている判決で、東京地裁立川支部がどのような判断を示すかは不明だが、ジャーナリズムの記録性を重視するという観点からすれば、A氏の実名報道は何ら問題がない。過去に連合赤軍の永田洋子らが起こした集団リンチ事件で主犯格の実名が公表されているわけだから、この事件も例外ではない。M君も、ひとつ間違えば命を落としていた可能性もあるのだ。

◆神原弁護士は、M君の現在を想像したことはあるのか?

なお、この裁判の原告代理人は、神原元弁護士である。神原弁護士は、自由法曹団の常任幹事を務めている。自由法曹団といえば、健全な社会進歩に貢献する人権派弁護士の集まりのような印象があり、事実、素晴らしい仕事をしてきた弁護士も少なくない。

しかし、北新地でのしばき隊による事件のように、自由法曹団の常任幹事が、重大な集団暴力事件を起こした組織を全面的に擁護する姿勢には疑問を感じざるを得ない。どこか歯車が狂い始めているのではないか?「街角の小さな喧嘩にすぎない」と訴状に記すこと自体がM君に対する侮辱である。犯罪者にも人権はあるが、客観的な事実だけは曲げてはいけない。一体、神原弁護士は、M君の現在を想像したことはあるのだろうか?

判決後はしゃぐ加害者ら。右端が神原弁護士

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
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《関連過去記事カテゴリー》  

M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

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鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」にお集りを!

尾﨑美代子

7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」にお集りを! 私も発起人になっています。

私と鹿砦社の関係をお話します。鹿砦社の松岡氏は以前から知っておりましたが、2005年松岡氏が不当逮捕された時期にはほとんどつきあいはありませんでした。なので一番大変な時期に救援も支援も出来てませんでした。

ふたたび、知ることになったのは、3・11以降でしょうか。月刊『紙の爆弾』も読ませていただきました。そんなおり、鹿砦社から反原発季刊誌『NO NUKES voice』(2014年8月創刊。現在の『季節』)が発刊されました。3・11以降、釜ヶ崎の仲間と反原発、反被ばく問題に取り組んでいた私は気になって購入しました。

ところが、内容は、いわゆるミサオ・レッドウルフ氏率いる「首都圏反原発連合」(以下、反原連)関係の記事が大半でした。松岡氏は反原連に結構な額のカンパを送っていました。のちに聞いたところ、反原連に送ったカンパは、鹿砦社が信頼し、懇意にしている「たんぽぽ舎」にも流れていると勘違いしていたそうです。

記事の中でも極めつけはミサオ氏へのロングインタビュー、ロングとあるだけにかなりの紙幅でした。ミサオ氏はそこで、「被ばく」のひの字を一回も使わずに反原発を淡々と論じてました。ある意味、すごい「芸当」だと感心したものです。3・11以降は小泉純一郎だって反原発です。では、私たちはなぜ原発に反対するか? それは、被災者に住民に労働者に無用な被ばくを強い続けるからではないですか?

その後、ある事件をきっかけに反原連と鹿砦社は袂を分かつことになり、以降、鹿砦社の反原発誌は、反原発と同時に反被ばくを強く打ち出すようになりました。反原連と袂を分かつきっかけとなったのが、また衝撃的でした。その後、松岡氏、鹿砦社で、大々的に支援を始めることになった、カウンター内でのM君リンチ事件でした(筆者注・2013年東京新大久保、大阪鶴橋などで、在特会などによる、「朝鮮人殺せ」などとヘイトスピーチ[憎悪表現]を煽るデモが増えた。これに対してカウンター[対抗]行動を行う人たちがでてきた)。

じつは、偶然ですが、2013年鶴橋で行われたネトウヨらの差別的なデモ行進には、私もカウンターの一員として参加していました。M君はカウンターに最初から参加していました。私はその後、あることがきっかけで参加を止めてました。いわゆる鹿砦社のM君リンチ事件本に、私のそのいきさつを寄稿しています。関心のある方はぜひお読みください。

詳細は省きますが、その後、M君へのリンチ事件が発覚します。松岡氏らはM君への支援を始めます。その経緯もリンチ本でご確認ください。

私は特に、反差別、反権力を訴える方々が、リンチした側に付いたことに非常に驚き、M君裁判を傍聴するなどして支援してきました。

長々書きましたが、私は反原発や野宿者問題、そして冤罪事件などに関わっていますが、その中で、とりわけミサオ氏らの被ばくを矮小化、あるいは被ばくに反対する人たちを攻撃するような反原連の反原発運動に反対であることと、その反原連運動の延長線上にあるかと思いますが、次のターゲットであるカウンター行動に移ってきては、反差別、反権力を訴えながら、仲間・同志にリンチを加えた人たちを擁護することに絶対納得できず、鹿砦社に賛同してきました。松岡氏とは意見の違う点もあります。しかし、松岡氏と鹿砦社の「間違いがあったら、いつでも指摘してください」との対応が本当に素晴らしいと考えております。私もまた、死ぬまで間違いを指摘して欲しいと思っているからです。松岡氏とは意見の違う点もあります。しかし、松岡氏と鹿砦社の「間違いがあったら、いつでも指摘してください」との対応が本当に素晴らしいと考えております。私もまた、死ぬまで間違いを指摘して欲しいと思っているからです。

今回の集いは、『紙の爆弾』20周年、『季節』10周年の記念の集いです。私は『紙の爆弾』の「日本の冤罪」シリーズに執筆させて頂いたり、『季節』は編集委員で関わらせて頂いております。この2冊は、このような時代だからこそ、絶対続けていかなくてはと考えております。

どうぞ、皆さま、お集りください。また支援をお願いいたします。

参加できる方は尾崎までご連絡ください。
宜しくお願いいたします。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年6月号

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

「広島県は産廃フリーパス」それを象徴する三原本郷産廃処分場の惨状

さとうしゅういち

広島県三原市と竹原市の水源地のど真ん中に広島県(湯崎英彦知事)が2020年設置を許可し、2022年秋から稼働が始まってしまった三原本郷産廃処分場(安定型処分場、事業者=JAB協同組合)。

2023年7月に広島地裁は、広島県に対して産廃処分場の設置許可取り消しを命じる判決を出しました。しかし、湯崎英彦知事は控訴。そして、24年1月に始まった控訴審では湯崎県政は業者のJAB協同組合を県側で補助参加させています。本来、県民のために業者を規制すべき立場の県が、業者と一体化して県民と敵対しています。

そうこうするうちにも、汚染水が何度も出て、そのたびに県は「指導」「警告」の行政指導を出して処分場へのゴミの搬入を止めるのですが、しばらくすると「安全が確認できた」として、再開を許してしまう。その繰り返しです。

直近では2024年11月に行政指導が行われ、ごみの搬入は停止されました。しかし、25年4月25日、県は安全が確認されたとして、汚染水の原因も解明されないまま、稼働再開を認めてしまいました。そして5月19日からゴミの搬入が確認されています。

また、福島原発事故で放射能汚染が懸念されている12の都県からのゴミが、広島県内ではこの三原本郷産廃処分場と、黒瀬産廃処分場(東広島市)に入っていることが、原告住民側の情報公開請求で明らかになっています。

こうした中、5月28日、広島瀬戸内新聞取材班は三原本郷産廃処分場許可取り消しを求める住民裁判の原告団の方のご案内で現地を取材しました。

筆者が24年7月に伺った時には、凄まじい汚染水が産廃処分場下流の日名内川を流れており、筆者が採水して舐めたところ、しょっぱい味がしました。原告団の方によると、当時の川底付近の土壌からカリウムやカルシウムなどもかなり入っていたそうです。おそらく、このあたりの物質が他の塩素系の物質と化学反応して塩分を形成していたのでしょう。

5か月間、産廃の搬入を停止したために、そうした状況は改善されている、とのことです。ただ、汚染水の原因がわからないまま、また搬入を再開しているのです。

◆展開検査もせずにバンバン捨てられる恥ずかしい実態

実際、再開された搬入の様子を見て、「だめだこりゃ」と筆者らは早速思わされました。

遠目にも法律で義務つけられている展開検査をせずにトラックからゴミをバンバン捨てている様子が見られました。

廃掃法違反です。しかし広島県には展開検査のマニュアルさえないのです。お隣の山口県も岡山県もきちんとマニュアルを整備し、山口県は抜き打ち検査を県がしているのです。

マスコミがドローンなどで、展開検査なしで捨てている様子を「現行犯」でキャッチして撮影していますが、それでも県は動こうともしないのです。

「広島県は産廃フリーパス」これが広島県の産廃行政の方針なのです。

◆水質検査もお手盛り

日名内川ではとくに24年夏にはすさまじい汚染水が流出。複数のコメ農家が作付けを断念しています。にもかかわらず、産廃処分場内の汚染水を集約して日名内川に放流する調整池の水質は検査しないそうです。

県は場内の4カ所の「井戸」(下の写真左の鉄板の下)の数値だけを定期的に測るのみです。しかも検査は予告ありです。

基準値を上回らないよう中を掃除するように指導がある始末。検査の意味がまったくありません。

こんな産廃に甘い広島を目指して全国から産廃が広島に押し寄せています。特に、福島原発事故の放射能汚染が懸念される12都県から三原本郷と黒瀬に産廃が行っていることが住民側の情報公開請求で明らかになりました。

◆三原停止の間は上安に?! やっぱり舐められている広島

また、同じJAB協同組合がかつて所有して外資系の「エクイス」に売却したものの実務を行っている安佐南区の上安産廃処分場には、このところ、凄まじい量の産廃が殺到。覆土すら行わないいい加減な捨て方で、周辺の道にビニールゴミが飛んでくるなどの惨状が、マスコミなどでも報道されています。

広島市は政令指定都市ですので、上安産廃処分場は広島市の管轄です。この上安産廃処分場についても、県も市も対応をやる気はあまりありません。三原本郷産廃処分場計画が持ち上がった時に、三原の人たちがJAB協同組合とはなんぞや?ということを勉強するために上安を視察し、汚染水に気づいて広島市に通報する始末だったのです。

また、保安林が地番を変更するというセコイ手法で解除され、その上に不適切な盛り土がされ、その上に産廃処分場が拡張されているという危険な状況です。これについては、県が、周りを囲むなどの対応をしていますが、産廃本体については市に丸投げ。そして、その市も、文書で東京のエクイスジャパンに指導するだけです。

そのエクイスジャパンは、一応、上安産廃について対応は始めていますが、6月中旬までかかるとのこと。そんなぬるいことでは、被害が拡大する一方です。三原の原告団の方は「24年11月から半年の間は、三原に搬入できなかった産廃を上安に回していたのではないか?」と推測しています。

◆竹原側にも拡張、残土を宅地開発名目で三原側に捨てる

また、現在は竹原側でも処分場の拡張工事が進んでいます。面積で言えば三原が3割、竹原が7割。本丸は竹原とも言えます。その竹原側で削った土砂を、三原側に運んで、「宅地開発」と称して、盛り土を行っている場所もあります。筆者らが取材している間にも、残土を運ぶトラックがバンバン通過していました。

失礼ながら、こんな場所にわざわざ宅地を買う人はいません。残土捨て場にするために、宅地開発と称しているだけなのです。もはや、やりたい放題です。

◆産廃無策・県民に敵対 湯崎英彦知事は御勇退を!

やはり、広島県知事・湯崎英彦先輩には御勇退いただくしかありません。2025年11月の広島県知事選挙で湯崎英彦知事の首を取り、湯崎知事から広島の水と食べ物を守る庶民革命を断行しなければ広島はゴミの山になってしまいます。
                                     また、国においても、廃棄物処理法を改正して、都道府県で産廃行政に差が出ないよう、きちんと規制を強化すべきです。現地の方は「立憲の宮口治子議員(25年1月離党)、三上えり議員にも現地に来てもらうようお願いしたが反応が鈍い。」「立憲系の県議にも連絡しているが反応が鈍い」とのことです。

目前に迫った参院選。広島県選挙区では自民・立憲の二大政党=湯崎知事の与党が2議席を独占してきました。この湯崎与党に厳しい審判を下せるかどうか?これも問われます。

◆失笑しかない立て看板

さて、三原本郷産廃処分場付近の立て看板には失笑しかありません。

広島県の湯崎英彦知事が許可した産廃処分場ならバンバン捨てていいのですよね?

その結果コメ作りができない農家続出なのですが? 将来的には下流や瀬戸内海にも悪影響が出るのですけど?そんな結果になっても何のおとがめもない。これが広島県なのです。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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《6月のことば》真理がわれらを自由にする

鹿砦社代表 松岡利康

《6月のことば》真理がわれらを自由にする(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

今月の言葉は「真理がわれらを自由にする」だ。

この言葉は、知る人ぞ知るで、国立国会図書館の目立つ所に貼られている有名な言葉である。

浅学の徒である私はこの言葉を知らなかった。知ったのは、加藤一夫著『記憶装置の解体──国立国会図書館の原点』(1989年。品切れ)を出版した時だ。この頃、著者は国会図書館に勤めておられた。何で知り合ったのかは定かではないが、おそらく加藤さんが翻訳された第二期トロツキー選集『革命はいかに武装されたか』に関心を持ち連絡したことからだったと微かに記憶にある。学生時代に革命家トロツキーに関心を持ち、ロシア革命の見直しの連続講座も持ったので、この関連からだったかな。上京するたびに国会図書館に立ち寄り歓談させていただいた。そのうち著書にまとめようという話になったのではないか……。

本書刊行は1989年というから出版を専業としてまだ5年ほどしか経っていなかった。A5判350ページの、けっこう大部の本になり、途中弱音を吐いたが、著者に叱責され、また出版界の先輩には激励され、出版に漕ぎつけることができた。

著者は1960年代後半の激動の時代に大学に身を置き闘いながら、70年代に入り大学を離れ国立国会図書館に入った。その、いわば中間総括の書である。今紐解いても意義ある本で輝きを失ってはいない。

ところで、「真理がわれらを自由にする」とはどういう経緯で国会図書館に貼られているのだろうか? 次の解説が一番的確なので、長いが引用し説明に替える。──

《東京・永田町にある国立国会図書館は、昭和23年(1948年)設立された日本で唯一の国立図書館として、国会だけでなく広く日本国民に開かれた図書館だ。
 図書館の利用者は、昭和36年(1961年)開館されたここ東京本館の目録ホールにある図書カウンター上部に刻まれた「真理がわれらを自由にする」という日本語と、その傍らのギリシャ語銘文を自然と目にすることになるが、この言葉が国立国会図書館法の前文として明記され、図書館の精神として66年もの間生き続けていることはそれほど知られていない。
 昭和23年(1948年)起案された国立国会図書館法の前文には、法案の起案に参画した歴史家で当時の参議院図書館運営委員長であった羽仁五郎氏がドイツ留学中にフライブルグ大学図書館で目にした銘文をもとに、「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」と記されており、このフライブルグ大学図書館の銘文は新約聖書・ヨハネによる福音書の一文「Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ」に由来するものとされている。》(永田純子「真理がわれらを自由にする」:国立国会図書館に生きるギリシャの精神)

(松岡利康)

6月のキックボクシング、三つの興行概要!

堀田春樹

今回の武田幸三率いるCHALLENGER興行は大田拓真がメインイベンター。

◎KING OF CHALLENGER / 6月8日(日)後楽園ホール(開場17:00/開始17:15)
主催:オフィス超合金 / 認定:NJKF、WBCムエタイバンコク本部

久々のWBCムエタイ世界と日本のタイトルマッチ開催。

2月2日にNJKFフェザー級王座初防衛戦で金子貴幸にKO勝利した大田拓真はリング上で王座返上を告げ、6月8日にWBCムエタイ世界タイトル挑戦の意向を示し実現に運ばれました。

4月27日に行われた二つのトーナメント決勝となるそれぞれの王座決定戦。WBCムエタイ日本バンタム級とNJKFスーパーバンタム級のそれぞれ4名参加の王座決定トーナメントは勝ち上がった嵐vs 星拓海、繁那vs 藤井昴で6月8日に決定戦を迎えます。

2月2日に吉田凜汰朗がNJKFスーパーライト級王座初防衛戦で健太を僅差で下した微妙判定の再戦を、オープンフィンガーグローブで行われることが発表されています。キックボクシングにオープンフィンガーグローブ使用の影響も注視したいところです。

ムエタイの世界戦。大田拓真が初挑戦
四つのトーナメント戦、インパクトある展開を残すのは誰か

◆第7試合 WBCムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.アントニオ・オルデン(1991.10.14スペイン・マドリード出身)
      vs
挑戦者9位.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身)

アントニオ・オルデンは過去にWBCムエタイ・インターコンチネンタル、ISKAインターコンチネンタル、WKA欧州、WKAスペインなど同級王座を獲得。

シュートボクシングに出場経験あり。2017年に武居由樹にKO負け。2024年に玖村将史にKO負け。ONE Champion Shipでは2023年10月6日にポンシリー・スージーバミーキアオ(タイ)に判定2-1勝利しています。

◆第6試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦 5回戦

1位.嵐(=坂本嵐/NJKF同級Champ/KING/20歳)
vs
3位.星拓海(スックワンキントーン・バンタム級Champ/IDEAL/20歳)

◆第5試合 スーパーライト級3回戦(延長2ラウンドまで可能)

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/25歳)
       vs
健太(=山田健太/E.S.G/38歳) 

健太はスーパーライト級も制していれば三階級となるところだったが、叶わなかった前回の吉田凛太朗戦。過去1勝1敗の決着戦となる。

◆第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.西田光汰(西田/24歳)vs 挑戦者1位永井雷智(VALLELY/)

4月27日、高木雅己(誠至会)にKO勝利した永井雷智が挑戦権獲得。

2月2日にS-1覇者.優心(京都野口)に微妙なノックダウン奪って僅差ながら判定勝利した西田光汰。優心との決着と上位王座に向けても大事な試合となる。

◆第3試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

2位.繁那(R.S/21歳)vs 3位.藤井昴(KING/)

嵐と同門の藤井昴も続いて王座奪取したいところ。

以下4試合(3回戦)
バンタム級/山脇飛翼vs サンチャイ・テッペンジム(タイ)
スーパーバンタム級/王清志vs 中島大翔
女子ミネルヴァ48.5kg契約/山崎希恵vs あゆな
フェザー級/陽平vs 高嶋隆一

左から今回の王座戦出場者、星拓海、嵐、繁那、藤井昴、永井雷智

※               ※               ※

令和の全日本キックボクシング協会、大韓ムエタイとの戦いが続く。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦 2nd / 6月20日(金)後楽園ホール(開場17:00/開始17:15)
主催:全日本キックボクシング協会 /

平日開催から次回は日曜日開催へ持ち込める模様。

今回の注目は、相手が誰だろうとエース格の存在感示さねばならない瀬川琉。期待の新星・野竹兄弟出場。渋さ発揮のオーシャン・ウジハラも出場。今回も大韓ムエタイ協会との交流戦が4試合。今後、大韓ムエタイが躍進するかも見計りたいところです。

全日本キックボクシング協会、今回のイメージポスター
SAMURAI WARRIORS 挑戦2nd 顔入りポスター

◆第12試合 60.5kg契約3回戦

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/27歳)
vs
アイドゥル(=金炳秀キムビョンス김병수/2025年韓国HERO FIGHT優勝/韓国出身)
リングネームの“アイドゥル”は二人の子供を持つパパという意味のようです。

メインイベンター瀬川琉、6月の3興行の中で一番目立てば大飛躍

◆第11試合 ライト級3回戦

オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/元・WBCムエタイ日本フェザー級Champ/無所属/39歳)
vs
角谷祐介(スックワンキントン・スーパーフェザー級初代Champ/ネクストレベル渋谷)

◆第10試合 スーパーライト級3回戦

全日本スーパーライト級6位.勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/20歳)
         vs
李導炫(이도현イ・ドヒョン/韓国出身)

◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦

中村健甚(稲城)vs AHMED BOUGRIANE(=カタカナ表記不明/フランス出身)

◆第8試合 ウェルター級3回戦

カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family)
       vs
柳將元(=リュ・ジャンウォン류장원/韓国出身)

◆第7試合 ミドル級3回戦

KENTA PUAKUTA SHONBIN(DEAD HEAT)vs Yihu(=漢字カタカナ表記不明/中国出身)

◆第6試合 63.0kg契約級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド)vs 清宮拓(GODSIDE)

◆第5試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城)vs Wagner Carioca(=カタカナ表記不明/ブラジル出身)

◆第4試合 フェザー級3回戦

KAI AKG(A-BLAZEKICK)vs 柳權(=リュ・グオン류권/韓国出身)

以下、3試合(3回戦)
65.0kg契約/小玉倭夢vs 亀田蓮(亀田同志会)
スーパーウェルター級/堀江耐志vs 蘆立亮太(YS’K YAMAGATA)
スーパーバンタム級/渡邉獅生vs ミツル(A X)

※               ※               ※

主役は剱田昌弘、ベストファイトでメインイベンターを超えるのは誰か

剱田昌弘が引退試合を迎える。チャンピオンとしての存在感がもっと欲しかった剱田。
新潟から田村聖の弟、Hiromi(=田村大海)出場。
テツジムが推す雄希が渡邊ジム期待の香村一吹と対戦。
ジャパンキックボクシング協会から樹(治政館)が出場。

チャンピオンのカズ・ジャンジラへの挑戦権を懸けたNKBウェルター級挑戦者決定4名参加トーナメント準決勝2試合が行われます。

◆第13試合 73.5kg契約 5回戦

NKBミドル級チャンピオン.釼田昌弘(テツ)vs TOMO JANJIRA(JANJIRA)

3年前、剱田昌弘がチャンピオンベルトを締めた日、最後も笑顔が見られるか

◆第12試合 58.0kg契約3回戦

元・タイ国イサーン地区フェザー級チャンピオン.ローッボット・スターライトジム(タイ)
          vs
ジャパンキック協会フェザー級2位.樹(治政館/20歳)

◆第11試合 NKBウェルター級挑戦者決定トーナメント準決勝3回戦

NKBウェルター級5位.Hiromi(=田村大海/拳心館)
      vs
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/26歳)

2月22日にチャンピオンのカズ・ジャンジラに判定負けしているどん冷え貴哉だが、復活戦となる挑戦。

◆第10試合 NKBウェルター級挑戦者決定トーナメント準決勝3回戦

大月慎也(Team arco iris/39歳)vs 健吾(BIG MOOSE/31歳)

2月22日にカズ・ジャンジラが大月慎也を名指ししていた流れもあったが、トーナメント戦開催となった。

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級2位.雄希(テツ/22歳)vs 同級5位.香村一吹(渡邉/18歳)

◆第8試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris)vs 蒔田亮(TOKYO KICK WORKS)

◆第7試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級4位.悠(VALLELY)vs 緒方愁次(ケーアクティブ)

以下、プロ6試合(3回戦)、アマチュア3試合
65.0kg契約/小磯哲史vs TAIRA
ウェルター級/ちさとkiss Me!!vs 学登
60.0kg契約/鈴木ゲンvs 辻健太郎
女子53.0kg契約/RUI JANJIRAvs MEGU
62.0kg契約/猪ノ川海vs 小林簾
54.0kg契約/風間祐哉vs 早川曜平
アマチュアスーパーフェザー級/酒井“キッチンドリンカー”裕輝vs TAKENAKA
アマチュア68k.0g契約/ヒデジンvs 河野友信
アマチュア51.0kg契約/輝流vs そうた

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マニアックに細かく見れば好カード多数有り、ドラマ有り。ここから大手ビッグイベント興行出場に繋がれば選手にとって願うところ。本来は歴史ある各団体が主導権を握らねばならないだろう。

5月25日(日)に恒例のジャパンキックボクシング協会、市原ジム興行「Road To KING 3」も予定がありましたが、期限切れで割愛します。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

鹿砦社創業メンバーの前田和男さんが新刊『冤罪を晴らす!』を上梓しました

鹿砦社代表 松岡利康

他社本ですが新刊のお知らせです。鹿砦社創業メンバーにして最後の生き残り=前田和男さんが新刊を出されましたのでご紹介いたします。前田さんと言えば『続 全共闘白書』で有名ですが、こういう本も出されています。当社の本と共にご購読いただければ幸いです。

中国レポート② 遼寧省広佑寺 宗教が禁止されているというのは事実か?

黒薮哲哉

日本で定着している中国に関する情報には、誤ったものがかなり含まれている。たとえば宗教が禁止されているという情報である。社会主義の国では唯物論哲学が主流なので、その対極にある観念論哲学の典型である宗教が禁止されているという机上の論理が広がった結果ではないかと思うが、これは事実ではない。

昨年(2024年)の9月、筆者は中国遼寧省の広佑寺を訪れた。広佑寺は、漢代に建立された名刹(めいさつ)で、明の時代に仏教の聖地として繁栄した。

何層にも重なった屋根をもつ木像建築物で、奈良市にある大仏殿に形状が類似しているが、規模は遥かに大きかった。澄んだ空を背に聳えた建物に近づくと、暗褐色の恐竜に呑み込まれるような威圧感を感じた。

入場は無料。だれでも境内を散策することができる。バックグランド・ミュージックのようにお経が絶え間なく流れていた。本堂の床に跪いて祈りを捧げている人もいる。線香の煙も漂っていた。

日本の寺院でも目にする光景であるが、ひとつだけ違いがあった。立て看板が設置されていて、そこに「未成年の宗教活動(祈りなど)を禁止する」と書かれていた。つまり宗教を信仰するかどうかは、成人した後に、自分の頭で考えなさいとアドバイスしているのである。宗教2世の悲劇が問題になっている日本や韓国ではありえない対策である。「宗教を禁止している」というのは事実ではなく、成人してから決めるように奨励しているだけなのである。

情報の信憑性は、やはり現地へ足を運ばなければ確認できない。それが唯一の事実を確認する方法なのである。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年3月14日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

利権まみれの大阪・関西万博パビリオン建設 ── 維新は、お仲間業者を儲けさすことに必死のパッチ

尾﨑美代子

◆トラブル続きで「死者がでるかも」

維新の会は、お仲間業者を儲けさすことに必死のパッチ。

万博、開幕前予想していたトラブル以上のトラブルが起こっている。アンゴラパビリオンの建設を請け負った下請け業者に、上の業者が4000万円支払ってない件、しかもその上の業者が大阪府から建設許可証をとってないとか、建設の実績はほぼないとか、あり得ない事態もおこっている。

アンゴラパビリオンは開幕日に1日だけ開館し、その後ずっと閉めているって気の毒すぎだし、この件で万博協会が「民間同士の契約トラブルのため関与しない」とつれないそぶりなのも無責任すぎないか。これ、国家事業だろう? 大阪府も市も絶賛推進してただろう? 吉村なんかずっと万博ワッペン付けてただろう。それで「しらんぷり」はあり得んだろよ。下請け業者さん、うえの業者に何回連絡しても繋がらないって。「死者がでるかも」だって。

◆万博利権と類似した釜ヶ崎の労働関連施設建設をめぐる癒着構造

この件で思い出したのが、釜ヶ崎の「あいりん総合センター」の解体が決まって、そこに入っていた2つの労働施設、あいりん職安と西成労働福祉センターが2019年春に、隣の南海電鉄高架下の仮庁舎に移転した件だ。

センターは頑丈な重量鉄骨構造、職安は簡易なプレハブ構造と、構造がまるで違っていた。公金(税金)使う場合は最低限にしなくてはならないのだし、数年しか使わないのだから、簡易なプレハブ作りでよいはずだが。

センター仮庁舎は1517㎡、費用は約7億500万円。同じ規模の公的な建物(警察署とか公民館)と比べても非常に高い(ちなみにプレハブ構造の職安の建設費用は2億3000万円)。センター仮庁舎と同じく4年から6年使用する予定の他の仮庁舎の場合、建設から解体、現状回復までかかった費用は、センターの半分以下の3億円を超えるものはなかったという。センター仮庁舎を作った業者はどれだけ中抜きしているのだ!

当時、私たちもそれを問題にしてきたのだが、行政はその工事は南海電鉄高架下に作るという「特別な工法」なので、南海電鉄関連業者に随意契約でやってもらうしかないと言ってきた。どこがどう「特別な工法」かはわからなかったが、なんと出来て数か月で雨漏りがしたという……出来てすぐに雨漏りがするという「特殊な工法」だったのか。疑問が深まる。

プレハブ構造のあいりん職安
重量鉄筋構造のセンター
[左]開業から2ヶ月で天井から雨漏り。これが「特別な工法」のせいか??/[右]すんごい穴!

と、そんな頃、店の客の仮枠大工の兄さんから「ママ、7億あればけっこうなマンションが建つで」と言われた。「えっ本当?」と思っていたら、ある情報番組でハリウッドの「ヒルズだからビューが素晴らしい」という3階建て300坪、プール付きの大豪邸が約5億円と紹介されていた。建設費用と完成物の違いはあるものの、他でも調べると、ハリウッドのセレブな人たちの超豪邸が7億円未満でいくらでもあるではないか。7億円というのはそういう金額なのだ。セレブな方々の豪邸は何年たっても雨もりなんかしないゾ。

◆パビリオン建設に名を連ねる維新のお友達業者

ほかにもあるパビリオン建設費用の未払い問題で考えたのは、そのいい加減な業者は絶対維新のお友達業者であろうということだ。

維新の松井一郎の親族会社「大通」の主要取引先が南海電鉄グループの企業である住之江競艇場を経営する住ノ江興業で、松井の親族はここの電飾関係の管理や修理を行い儲けている訳だ。

あるいは、大阪城の樹木や大阪各地の街路樹をバッサバサと伐採する造園業「翠宝園」という八尾市の業者は、維新の前田洋輔府議の実家で、その前田府議の職歴見ると、この翠宝園のほかに大通も入っているという。ちなみに彼は松井の秘書をやっていたこともあるという、どんだけわかりやすいお仲間構図なんだ。

星野リゾート前のJR高架下に出来た「屋台村」もずっと閑古鳥が鳴き続けていたが、ついに撤去となった。あそこの連中もきっと維新のお仲間なのだろう。

◆万博会場で販売されていた統一教会系飲料水「メッコール」

そういえば、万博会場で販売されてた水「メッコール」が販売中止となったが、あれは、流石に社会的に問題となってる統一教会の関連業者とバレたからだ。バレなきゃ売り続けていたということか。お仲間業者を儲けさすことしか考えない維新の会。しかし、この万博が維新の会の命取りになるだろう。維新政治を終わらせるために、万博が始まっても万博反対を訴えていこう!

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

5月28日(水)に「押し紙」問題を考えるインターネット番組を生放送、レイバーネットネットTVが企画

黒薮哲哉

古くて新しい社会問題──「押し紙」問題を検証するインターネットの番組が5月28日、午後7時30分から、生配信される。タイトルは、「新聞『押し紙』のヤミ」。レイバーネットTVが企画した番組で、出演者は次の通りである。

出演者:黒薮哲哉(フリージャーナリスト、「メディア黒書」主宰)
    岩本太郎(ライター、週刊金曜日)
    中川紗矢子(元毎日新聞記者、イギリス在住/オンライン)

アシスタント:馬場朋子

放送日 2025年5月28日(水)19:30~20:40(70分放送)

・視聴サイト https://www.labornetjp2.org/labornet-tv/216/
(YouTube配信 https://youtube.com/live/mKSHrurEzXs?feature=share

企画の発端は、レイバーネットTVによると、昨年末に同事務所宛てに「一枚のFAXが届いた」ことである。「送り主は「読売新聞東京本社管内 読売新聞販売店 店主有志一同」。『34店を代表してやむにやまれずお伝えします』の書き出しで、『読売新聞の予備紙(押し紙)率が40%を超えていて、その負担に耐えきれず倒産、破産とともに一家離散などの悲劇が各所で生まれている。事実を知らせ世論喚起をしてほしい』という内容だった」。

番組の詳細については、次のURLを参考にしてほしい。

http://www.labornetjp.org/news/2025/0528kokuti

◆「押し紙」は一部も存在しないという立場を取ってきた新聞各社

ちなみに日本新聞協会をはじめ、新聞各社は、「押し紙」は一部も存在しないという立場を取ってきた。たとえ残紙があっても、それは販売店が自発的に購入した新聞であるから予備紙に該当し、新聞社が押し売りしたものではないという主張である。

とりわけ読売新聞の代理人を務めている自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士は、20年来この考えに固執していて、法廷でも、堂々とこの主張を繰り返してきた。

たとえば、読売が『週刊新潮』に対して起こした裁判の中で、喜田村弁護士は、当時の宮本友丘専務に次のように証言(2010年11月16日、東京地裁)させている。

喜田村弁護士:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村弁護士:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村弁護士:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

2012年7月6日には、元販売店主の家屋を仮差押えするなどの行為にも及んでいる。(下写真参照)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年5月20日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu