ハビエル・アギーレ前監督の解任による影響は大きい。就任からわずか半年、八百長疑惑による契約解除は日本サッカー協会(JFA)の任命責任も問われている。

協会は2月2日、ハビエル・アギーレ前監督の代理人弁護士から、スペインのバレンシア予審裁判所が八百長疑惑に関する検察側の告発を受理したという事実を確認。これをもって前監督に契約の解除を申し入れた。当時メキシコにいたアギーレ前監督はその場で了承したという。

◆「密命」を受けたサッカー記者たちが後任探しに奔走

しかし、後任探しはこの解任前から始まっていた。この決定が近いことは関係者なら察知していたが、事前に表立って動けないでいたため、忙しくしていたのは一部のサッカー記者だ。

「協会に近い存在の一部サッカー記者たちが、非公式に密命を帯びた形で奔走していた」とスポーツ紙の記者。

「アギーレ前監督の二の舞は踏めないということで、次の監督候補となっているルイス・フェリペ・スコラーリ(ブラジル)やドラガン・ストイコビッチ(セルビア)、グレゴリオ・マンサーノ(スペイン)、ホセ・アントニオ・カマーチョ(スペイン)らの現在の状況や契約相場、そしてゴシップの有無を協会に頼まれて探っていたんです。特に協会が知りたがっていたのは監督候補の私生活で、マフィアとのつながりがある噂はないか、『飲む、打つ、買う』といった部分にだらしないところがあるのかどうか、潔癖さ優先で一応の身体検査をしていたんです」(スポーツ紙記者)

中でも「レッドスター会長時代に選手移籍に乗じて不正に金を得た」というウワサのストイコビッチについては有力候補として詳しく情報を集めようとしていたという。
「ある記者は仕事でもないのにセルビアに出入りしていたほど」(同)

◆アギーレ解任の決め手となったのはスポンサー企業からの不快感

そこで実際に『密命』を受けたと話すサッカー記者A氏を直撃してみた。A氏は「誰の周辺を探っているかは言えない」としながらも、匿名を条件にこう打ち明けた。

「こういうのは記者であっても易々と情報が集まるものでもないので、海外の記者や関係者に金を渡して協力してもらってます。こっちはただの橋渡しみたいなもんです」

記者はあくまで協会の意向に沿ってやっていることだと言いたげだった。4年契約で2億円もの契約金をかけながら無駄になった今回の事例とあって、経費を使ってでも慎重に動いていることが分かる。

「報酬? それは言えませんが、基本給と日当。信頼関係でやっていることなので成功報酬とかはないですよ。ただ、金よりも協会に恩を売れることの方が大きいです。ワールドカップがらみの“おいしい情報”を独占入手できたりもしますから、そっちがメリット」(A氏)

一方、選手たちの間でアギーレ前監督の損失は大きいという話もある。

「バカのひとつ覚えのように数の論理で勝つというフォーメーション優先のサッカーを捨て、個の力で突破してフィールドを縦横無尽に使う新スタイルを打ち出したばかりだった。その戦術が理解され始めた矢先だったので、ぎりぎりアジア杯まで指揮をとらせたという部分もあった」とA氏。

最終的に解任を決めたのは協会と億単位で契約するスポンサー企業からの不快感だった。八百長騒動については広告代理店が大相撲の例を持ち出し企業へのマイナス試算を提示。これを受けた企業側が協会に早期解任を求めていた。中には昨年中の解任を要求したところもあったと聞く。

「選手間ではアジア杯でいい試合を見せれば日本代表の価値が上がり、相応の優秀な監督が後任になるという思惑もあった」(A氏)

一方で後任に色気を見せる人間からはアジアチームに関心が低くとも『ホンダ、カガワには注目している』などといかにも用意してきたようなおべんちゃらを言い出す『自称、日本びいき』の監督候補も増えているという話だ。そういうところもA氏の情報収集の範疇のうちだという。

◆失敗の本質は「欲しがる金を出せるか出せないか」で判断するJFAの姿勢

非公式とはいえ、恥も外聞もなく記者に探偵ごっこをやらせる協会は身体検査に「想像以上の費用を投じている」ともいわれるが、A氏によると「大きな壁がある」とする。

「協会は、各監督をバックアップする各国の大物関係者の接待など根回しがないことです。こういうのは交渉をスムーズにさせることなので、他国ではもっと積極的にやっていることですが、日本ではロビー活動が苦手なんです。相手がほしがる金を出せるか出せないか、というのが、いつも日本側のやり方ですが、実際には金額だけではないものだって武器になるんですよ。私のような記者を使うこと自体、海外とのやり取りが弱い証拠」(A氏)

本来、協会がやるべきなのは、監督候補の身辺調査ではなく、日本のサッカーの方向性を具現化してくれる、論理的な日本の指導者を育てるべきだったという声は多い。そもそも著名な外国人監督を大金出して呼べばいいという姿勢が今回の失敗につながったようにも思える。成績が悪ければあっさり詰め腹を切らせるというマネーだけがつながりのアプローチはJリーグから踏襲してきた悪い慣例かもしれない。[ハイセーヤスダ]

◎「イスラム国」人質事件で暗躍──胡散臭い仲介人やブローカーたちの罪と罰
◎《屁世滑稽新聞》既知害国会の“ハンザイ三唱”は何だったのか……の巻
◎《脱法芸能》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?

同時多発の事件を撃つ!話題の『紙の爆弾』3月号7日発売!

 

屁世滑稽新聞(屁世27年2月7日)

既知害国会の“ハンザイ三唱”は何だったのか……の巻
(ヤン・デンネン特派員の大江戸情報)

【東京発】 当然のことだが我々ニッポンで活躍する外国人記者たちは、独自の記者ネットワークを有している。それは畜獣のクソにしがみついて自分のエサ場に転がしていく習性しかもたない“フンコロガシ”のような、ニッポンマスコミの社畜記者たちには想像もできないだろう。もちろん“社会性昆虫”にすぎないニッポンの社畜記者たちなど、我々の情報ネットワークから完全にシャットアウトしている。なぜなら連中は、役所の一室にあてがわれた「記者クラブ室」なる“特殊権益の小部屋”にご丁寧に置かれた、ゲタ箱のような報道各社むけの“お手紙受け”に日々投げ込まれる報道資料とか、大企業の広報担当のおネエちゃんがご丁寧に配達してくれる発表レジュメを、そのままペラの原稿用紙になぞりがきしていれば、もうそれだけでお仕事が完了するからだ。ニッポンの記者クラブでお仕事をしている社畜ジャーナリストというのは、餌付けされた伝書鳩にひとしい。

我々外人記者はそんな呑気な伝書鳩とはちがう。政府や企業の不都合な秘密をあばく“真実の狩人”なのだ。

ジャーナリストとしての見識も情報収集能力も、ドン臭い日本の社畜ジャーナリストなど及びもつかぬ我らトーキョー特派員が、年に一度の楽しみにしており、同時にまた他社のジャーナリストたちとの重要な情報交換の場にしてきたのが、年末恒例の忘年会にほかならない。

ところが昨年すなわち2014年の忘年会が、なぜか今年の2月上旬になってしまった。日本の旧暦の大晦日に行なう“豆まき”が終わった頃に、我々は去年の忘年会をようやく構えるという体たらくなのであった……。どうしてそんなに遅れてしまったのか? それは幹事がフランス野郎だったからだ。このリード記事は“ムッシュー幹事氏”が見ていないから、わたくしヤン・デンネンの本音をブッチャケて申し上げるが、フランス人が無能なくせに独善的だというのは数百年来の世界の常識なのである。

なにせフランスという国は、200年ばかりまえにナマイキな小ブルジョワどもが勝手に騒動を起こして王家を首狩りで惨殺したばかりか、コルシカ島出身の小男(ナポレオンのことだ!)がヨーロッパ大陸全域を武力侵攻して周辺諸国に多大な惨害を及ぼし、それで終わらずに現代でもなお、勘違いな「革命家」どものアジトになっている。中国の周恩来も、カンボジアのポルポトも、イランのホメイニも、みんなパリで不穏な革命思想を培ってきたのである。

第二次大戦当時だってフランスの無能と独善は連合国をあきれさせた。戦争が始まるやフランスはあっという間にナチスドイツに占領され、パリは何年も“ナチスの花の都”だったわけだが、ドゴール将軍はイギリスにさっさと逃亡し、霧の都ロンドンで勝手に「自由フランス」と称する疑似国家の誕生を宣言した。連合国はもちろんそんなものは正式な「政府」とは認めなかったのだが、やがてドゴールの自称「自由フランス」武装組織は従来のフランスが海外に拡げてきた植民地での支配権を、ナチス傀儡政権になりはてた本家フランスから横取りし、北アフリカ植民地のアルジェに自称「フランス共和国臨時政府」を設置した。こうしてフランス植民地の新たな宗主になったドゴールの武装組織を、連合国もしぶしぶ認めることになったわけである。そしてノルマンディーのあの過酷な上陸作戦が敢行され、西から攻め上った米軍主導の連合軍はナチスの手からパリを奪還し、一方、ソ連軍は東から進撃してついにベルリンを陥落させた。こうして連合軍が四苦八苦のすえにフランスをナチスの手から奪還するや、自称「フランス共和国臨時政府」のドゴールがすでに安全になっていたパリでちゃっかりと「凱旋」を飾り、かつてのナポレオン皇帝のように、自分が共和国の新たな主だと僭称しはじめた。……多大な犠牲を払ってフランスを解放したのはアメリカとかソ連の連合軍である。だから連合国の指導者たちは逃亡将軍ドゴールのこの“手柄の横取り”をまことに苦々しくとらえていたのである。

……70年ほどまえのこの話が、なにかに似てると気づいた諸氏は賢明である。いまの自称「イスラム国」がまさにこれの二番煎じなのだ。逆にいうと、第二次世界大戦の最中には、逃亡将軍ドゴールの武装組織なんて、いまの「イスラム国」みたいなものと見られていたわけである。

……あ~あ、愚痴が長くなっちゃった。わたくしの祖国オランダも、フランスの田舎者どもには散々迷惑をかけられたから、どうもこの連中を信頼できない。それはともかくトーキョー特派員秘密クラブの、昨年の忘年会幹事に当たっていたフランス人記者の話であるが、なんと滑稽なことにご存じ『シャルリ・エブド』の特派員だという。ところが彼が送った記事が、あのタブロイド新聞に載ったためしがないのだ。聞いた話では、この特派員ジャンピエール氏は、パリ『シャリリ・エブド』本社の地下に秘匿されていたハシッシュを不良外国人などに勝手に横流しして、それがバレて極東に島流しになったという。日本風の表現でいえば「窓際族」ってことだ。……ちなみにハシッシュとは精製大麻のことだが、ナポレオン将軍のエジプト遠征のときにヨーロッパに持ち込まれた「麻薬」なのである。フランス万歳!(ヴィヴラ・フランス!)……ってか。(笑)

前置きはこれぐらいにして、先日都内の某居酒屋で我々がひらいた忘年会での会話を、公開可能な範囲でここに紹介したいと思う。これを読めば、我々トーキョー特派員のジャーナリストとしての能力が、日本の報道機関の社畜どもとは格段にちがうことを理解してもらえるだろう……。

 

トーキョー特派員たちの「忘年会」での会話(2月上旬の某日、都内某居酒屋にて)

フランス特派員(ジャンピエール) 「お待たせしました。では2014年の忘年会を始めます。じゃあイタリア病から帰還した脳梅毒のジョバンニ君に、乾杯の音頭をとってもらいましょう!」
イタリア特派員(ジョバンニ) 「では諸君! 世界一おいしいイタリアワインをマンマンと満たしたワイングラスを手に持って! ハイっ!チンチン!」
オランダ特派員(ヤン・デンネン) 「プロースト!」
ポルトガル特派員 「サウーヂ!」
スウェーデン特派員 「スコール!」
フランス特派員(ジャンピエール) 「アヴォトルサンテ!」
(以下略)

オランダ特派員 「ところで幹事、なんで2月になってから去年の忘年会をやるのさ? もう“締切”がとっくに過ぎてるぞ!」
フランス特派員 「オランダ人は船乗りの子孫なんだから、世界事情をちょっとは知ったらどうよ? 太陰暦では2014年は、西暦2014年の1月31日に始まり、15年の2月18日に終わるんだよ。だからまだ太陰暦では2014年12月ってことだ。それくらい知っておけ。唐変木(とうへんぼく)が!」
スウェーデン特派員 「おいジャンピエール、いつから君の国は旧暦になったんだ? ま~たクソみたいな革命やらかして暦を変えたのか?(笑)」
フランス特派員 「腐ったニシンの缶詰くらいしかグルメ料理がない貧乏漁労民の国のくせに、自由の国フランスに喧嘩売ろうってのか? 本業が忙しすぎて忘年会の幹事のヒマ仕事なんて翌年まわしにしてたダケさ!」
ドイツ特派員 「やっぱりフランス人は嘘つきだな(笑)。本業って、おまえ『シャルリ・エブド』に記事を何も書いてないくせによく言うぜ。」
フランス特派員 「だまれナチの鉄兜みたいなハゲ野郎! ちゃんと書きましたよ! なんならここで原稿みせようか! ほれ! フランス語版と英語版のために二つも記事を書いたんだぜ!」

「ab?tissant(アベッチサン)」は「馬鹿」という意味。 「JE SUIS AB?ETISSANT(ジュ・スィ・アベッチサン)」は フランス語で「わたしは馬鹿」。

「ab?tissant(アベッチサン)」は「馬鹿」という意味。
「JE SUIS AB?ETISSANT(ジュ・スィ・アベッチサン)」はフランス語で「わたしは馬鹿」。

「ape」は「テナガザル,オランウータン,チンパンジー,ゴリラなどの類人猿」、
早い話が「ヒト似ザル」。
「I AM APE」は英語で「わたしはサルです」。

ドイツ特派員 「なんだよこれ? こんなの、おまえのところのクズ新聞に全然載らなかったじゃないか。」
フランス特派員 「ああそうだよ。バカ編集長が、ニホンザルなんか載せてもインパクトがないから、モハメットを表紙にして『おらはシャルリだ』って言わせたのさ。だから俺の記事はボツになったけど、パリの奴ら、モハメットをまたおちょくったから、ま~た死人がでるぞ。まあ俺の知ったこっちゃないけどな。」
オランダ特派員 「おまえ自分の会社のことなのに、ずいぶん冷淡じゃねえか?」
フランス特派員 「だってコチトラ、左遷の身ですからね。フランス領インドシナにでも左遷してくれれば、南国でおネエちゃんを抱き放題だったんだけどな(笑)。」
イタリア特派員 「おいフニャチン野郎、ベトナムはもう“フランス領インドシナ”じゃねえぞ! いつまで植民地の夢を見てるんだよ唐変木! ハッタリかましてると、ここでスクープを発表するぞこの野郎!」
フランス特派員 「イタリア病の脳梅毒の分際で、スクープとはチャンチャラ可笑しいワイ! できるもんならやってみな!」
イタリア特派員 「おおやったろじゃねえか、フニャチン野郎! おまえ去年は11月からずっとバカンスをとってタイで少女買春してただろ。映画の『ラマン』のようには行かねえんだよ、半勃(はんだ)ちのおまえじゃな。むこうで少女を抱きながら年越しして、1月中旬に日本の成人式を見物するためにようやく帰ってきた好色変態が! だ~から忘年会幹事の重職をほっぽり投げてたくせに、屁理屈こねてんじゃねえよ!」
フランス特派員 「言ったなこと野郎! わが世界最強のナポレオン国民軍がアルプス山脈をこえて半島の農奴どもをコテンパンにしてやるぞ、この野郎! ……ハイハイ、たしかに行きましたよ。タイに少女を買いにね。でもそれはあくまでも自由恋愛だぜ。バチカンの金魚の糞みたいなオマエらイタリアの分際で、2000年まえからの腐った倫理に縛られている、ロンバルジア平原の類人猿のお説教なんて聞きたくないぜ!」

(ここで店員がやってきて「お客様たち、店内でワイセツな言葉づかいでケンカするのはやめて下さい」と厳重注意され、興奮状態の特派員たちはシュンとなった、)

オランダ記者(ヤン・デンネン) 「ところで諸君、遅すぎた開催ではあるが、いちおう忘年会なのだから、恒例の年末回顧を語ろうじゃないか。」
イタリア特派員 「やっぱり年末の国会解散にはビックリしたよな。こちとらクリスマス休暇のお楽しみをいろいろと予定していたのにブチこわしにされた。迷惑きわまる話だったぜ。」
フランス特派員 「まあアベッチサンは文字どおりの馬鹿で、うちの国じゃ規制対象になっている既知害カルト、ムーニー教団ともネンゴロな関係だもんな。それに慢性下痢の治療でステロイド剤を投与されていて、これは精神が不安定になる副作用があるからなあ……」
スウェーデン特派員 「その件についてだが、うちの国はご存じのとおり、生物分類学の始祖・リンネの出身国だ。わたしも便所虫の分類学についてはちょっと詳しいわけだが、最近、注目すべき人類学的研究が出たのを知っているか?」
ポルトガル特派員 「ニッポン民族がホビットの末裔であるとか、そういうたぐいの話か?」
スウェーデン特派員 「いや。類人猿が進化の方向をまちがえて、月のような天体へと変態しつつある、という観察報告だ。まさに月のように、つまりルナティックに変化しつつある変異種がいるのだとさ。」


フランス特派員 「おやまあ! アベッチサンの顔がどんどん膨張しているのは、故なきことではなかったんだな。」
ポルトガル特派員 「人が“月”に変質しつつあるというのは、我々の想像をこえる進化路線だな。人間が“月”に変わっていったら、一体どうなってしまうんだろうか?」
スウェーデン特派員 「確実に言えるのは、昇天するってことだろうね。」
イタリア特派員 「ルナティックゆえに年末のいちばん忙しい時期に、独断で国会解散なんてやらかしたのか……。お月さまに総理大臣をやらせるなんて、恐ろしい話だよな。かぐや姫みたいにさっさと昇天すればいのに……」

ドイツ特派員 「国会解散のときに、天皇の詔書(しょうしょ)が議長のもとに運ばれただろ。記者席で見てたんだけど、あれを議長に渡した衆院事務総長の手がブルブル震えていて、そりゃスゴイものだったぜ。」
スウェーデン特派員 「だって議長が解散詔書を朗読して、それで議会が解散したら、その瞬間に国会議員は一斉解雇だもんな。“おまえら全員クビ!”って言い渡すのは、そりゃ気が重いだろうさ。心理的なストレスでブルブル震えもくるわさ。」
ドイツ特派員 「心霊家スウェーデンボルグの国のキミなら直感的にわかるかも知れないが、じつはロシアの特派員がオカルトに凝っていて、キルリアン写真術を研究して心霊カメラを自作したんだ。そのカメラで国会解散式の一部始終を撮影していたんだが、奇妙なものが写っていた。」
スウェーデン特派員 「地獄の閻魔大王でも写っていたのか?」
ドイツ特派員 「いや。なんとスターリンの首が写っていた。ソ連時代に大粛清をやらかしたスターリンがニッポンの国会議事堂内でちゃっかり写っているのを見て、このロシア人記者は腰を抜かした。」

昨(2014)年11月21日、安倍総理が衆議院をいきなり解散した。
天皇が発した解散の詔書(しょうしょ)を、衆院議会の事務総長が、
伊吹議長のもとに持っていく。キルリアン写真の心霊カメラで
撮影したら、解散詔書にはベッタリと、スターリンの亡霊が張り
ついていた。

解散詔書を議長席にひろげた事務総長の手が、
不気味に震えているのをカメラは見逃しはしなかった!
衆院議員全員が、この一枚の詔書で、その場でクビになるのだから、
議会の重さと国民への責任を自覚している者であれば、
戦慄のあまり手が震えて当然であろう……。

ブルブル震えながら解散詔書を準備する衆院事務局長の狼狽(ろうばい)ぶりを、
ニヤニヤと笑って見ているのは衆院議長の伊吹文明であった。
「非文明」を体現したようなこの男は、国会の解散が
どれほどの重みを持っているか理解できず、
ヘラヘラ顔で「衆院最後の瞬間」に臨んだのである。

国会がいきなり解散するのは、国会議員にとっては文字どおり
「議員生命」にかかわること死活問題だ。
伊吹「非文明」さんは、人の死に冷淡な人物であることが知られている。
2007年5月の末、第1次安倍政権の松岡利勝・農林水産大臣が
衆議院議員宿舎で首吊り状態で「変死」した。
当時の文部大臣だった伊吹は、親しき閣僚の変死に対して
「死人に口なし」だと言い放った。

スウェーデン特派員 「日本の国会にスターリンの亡霊が現れる必然性なんて、ぜんぜん思いつかないんだけど、一体どうしてオバケが出たのかなぁ?」
ドイツ特派員 「イタコ稼業の大川隆法にでも口寄せしたもらえばいいさ(笑)。外人から口寄せを頼まれたら、奴のことだから尻尾ふってやるだろうよ。……まあ、ロシア語のままスターリンの霊言が出てくることは、奴の能力から考えてゼッタイ無理だけどな(笑)。」
イタリア特派員 「うちの国もムッソリーニという妖怪に荒らされた過去があったわけだが、そんな国で生まれ育ったオレの感覚から言わせてもらえば、スターリンの亡霊をわざわざ地獄から引き寄せるほどの、政治陰謀とか血の臭いが、このときニッポン国会の議事堂のなかに充満してたんじゃないの?」
フランス特派員 「それって、夜食のチーズを寝室に持っていったら、寝ていたナポレオン皇帝が『ジョセフィーヌ! 今夜は勘弁してくれ!」と叫んでガバっと目ざめた、という逸話を連想させるわな(笑)。スターリンの場合は血なまぐさい政治陰謀の臭いがすると地獄から呼ばれて来るのかもな。」
ポルトガル特派員 「つまりミイラみたいな顔をした衆議院の議長どのが、スターリンの亡霊を呼び寄せたってわけか?」
フランス特派員 「ノンノン! あんな生気のないミイラに、スターリンの荒ぶる怨霊を呼び寄せるなんて無理ムリ。人間の理解をこえた凶暴な妖獣の雄叫(おたけ)びを聞いて、地獄から嬉々として現れたのでしょうな。」
ポルトガル特派員 「凶暴な妖獣といったら、最近、冬の福島に出現したあの化け物しかありえないわけだが……。」
ドイツ特派員 「まさにそのとおり。日本の妖怪は墓場鬼太郎がたいてい成敗してきたから、いまだに生き残っているのは“昭和の妖怪”岸信介の末裔(まつえい)の、悲惨な妖怪くらいなもんだろうな。」

昭和の妖怪”岸信介の末裔の、悲惨な妖怪。

★          ★          ★

オランダ特派員(ヤンデンネン) 「ところで諸君。国会の議長が解散宣言を発したとたんに、議員たちが、なんかワケもわからないハシャギぶりだったよね。」
イタリア特派員 「あれはニッポンの古都であるキョートの、伝統的な家庭料理を讃美する雄叫びだったんだぜ。京都では夕食の家庭料理を“晩材(ばんざい)”というのだが、国会が解散したら、議員たちはすぐにマンマ・ミーア〔=おふくろさん〕のところに駆けつけて、家庭料理を食べるわけだろ。なにせ奴らは、議会にいるときだって食いもののことしか頭にないからな(笑)。」

フランス特派員 「…ったくイタリア人ってのは食いもののことしか頭にないのかよ! 70年代にイタリアでさかんに作られたソフトポルノ映画『青い~』シリーズに必ず出てくる”食いしん坊のデブ神父”が、おまえら半島国の国民性なのか?(笑) ジャポネ国会が解散したときに議員たちが叫んでいたのは『オバンザーイ!』じゃなく、『バンダーイ!』だったんだぜ。イタリア人は植民地が少ないから外国語もまともに聞き取れないのな(笑)。」


ポルトガル特派員 「やっぱりフランス野郎は頭のなかにワイセツな妄想が渦巻いてるんだな(笑)。なんで国会議事堂に女湯が出現するんだよ! ジャンピエール君、おまえは変質者だから、かつてオマエの国の植民地だったモロッコにでも行って、キンタマを切りとってもらったほうが世のため人のためだぞ。オマエのようなフランス人が男性のまま存在していること、それ自体が、世界の脅威なんだからな(笑)。」
フランス特派員 「ヨーロッパの果ての没落国家のくせして、ナマイキ言うんじゃねえや! じゃああの国会議員どもは、一体なんて叫んでいたんだよ?」
ポルトガル特派員 「あれは『ザンパーイ! ザンパーイ!』と叫んでいたんだ。国会解散の宣言は、議員たちにとっては死刑宣告だからな。ミイラみたいなあのボケ議長に『惨敗したらどうするんだコノヤロー!』って抗議してたわけさ。」

ドイツ特派員 「ポルトガル人は劣悪なワインを飲み過ぎて耳が腐ってるんじゃないか? あれがどうして『ザンパ~イ!』に聞こえるんだ? そんなふうにインチキな感覚だから、500年まえにオマエの国が発見した世界じゅうの秘境が、フランスとかイギリスとかオランダみたいに小ずるい国々に横取りされたんだぞ(笑)。」
ポルトガル特派員 「うるせえよ、鉄兜ハゲ! あれは『惨敗~!』って怒鳴ってたに決まってるじゃねえか! ヨーロッパの負け組ポルトガルの出身者がそういうのだから、これは確かな感覚だぜ!」
ドイツ特派員 「ちがうね! あれは『ハンザーイ! ハンザーイ!』と叫んでいたんだ。だって、なんにも解散する理由のない国会がいきなり解散したんだぜ。それでクビ切りされる議員たちにとっては、こりゃイスラム国の野蛮人なみの犯罪行為じゃないか。」
フランス特派員 「でも、その犯罪者ってのは一体だれなのさ?」
ドイツ特派員 「そりゃキミ、昭和の妖怪の末裔にきまってるじゃないか。」
フランス特派員 「けっきょく、世が世であれば、その妖怪も打ち首で処刑されてたってことか。」
ドイツ特派員 「真のニッポン男子なら切腹してるはずだが、“ウチュクしい国”とかホザきながら屁理屈をこねてる屁たれ野郎だから、切腹しきれずに介錯されるのがオチだろうよ(笑)。」


スウェーデン特派員 「ところで皆さんに聞きたいのだが、ニッポンの国会ってのはゾンビに支配されているのかね?」
ドイツ特派員 「キミは『ワールドウォーZ』とかのゾンビ映画を見すぎたんじゃないの? なんでそんな突拍子もないことを聞くのさ?」
スウェーデン特派員 「ミイラ男のイブーキ議長が国会解散の宣言を口にしたとたん、一部のゾンビが反射的に両手を挙げたのを、キミは見ていなかったのか?」

オランダ特派員 「なるほど北欧出身だけあって、頭脳がクールだな。記録写真をみると“Mr.Asshole”(ミスター・アソー)などは、ハッキリとゾンビの兆候を示しているな。こうやって日本の政治拠点を、死霊が人知れず占拠しつつあるのだな。これは貴重なドキュメントだ。」
イタリア特派員 「とりあえず“ケツの穴”野郎と会うときは、ニンニクと十字架は必須のお守りってことだな。」
フランス特派員 「俺もひとつ質問していいかい? なんで日本の国会議員どもは、『バンダ~イ!』って叫びながら降参のポーズを取るのかな? コイツらって心の底から敗北主義者なのか?(笑)」

オランダ特派員(ヤン・デンネン) 「これについては俺も『週刊侵腸』にレギュラー執筆していたときから、ずっと訝(いぶか)しく思っていたよ。……で、調べたんだが、大日本帝国時代にニッポンが初めて近代憲法を発布したとき、その発表会に出席した明治天皇を讃えるために、当時の維新政府の連中が、『バンザ~イ!』って叫んで手を挙げるポーズを考え出したそうだ。考え出したといっても、実際はシナの王朝で昔から行なわれてきた皇帝礼賛の儀式の、もろパクリだったんだけどね(笑)。……で、大日本帝国憲法の発布の当日なんだけど、実際に天皇を乗せた馬車がやってきて、烏合(うごう)の衆どもがこれをやらかしたら、馬車を引いていた馬がビックリして、立ち止まってしまったとさ(笑)。……つまり『バンザーイ!』ってのは、最初から、天皇の権威を挫(くじ)く呪文だったってわけさ。」
フランス特派員 「……だけど、その『バンザ~イ!』ってのを、太平洋戦争のときには、日本兵たちがアメリカ軍に対して行なってきたんだろ?」
オランダ特派員 「まあ結局、日本はアメリカ連合軍に負けて、天皇よりもアメリカ様を拝むようになったからな。戦場の兵士は本能的に、アメリカに対して“バンザ~イ!”したんだろうね。現代の日本人にそんなことを話せば、おそらく火病をおこして卒倒するだろうさ(笑)。だけど今の日本の現実を見てごらん。完全にアメリカ様にバンザイしてる国だからなぁ……」

ドイツ特派員 「なんだかニッポンが哀れに思えてきた。俺らのドイツも、ニッポンといっしょに負けた側なんだけど、これほど惨めじゃないからなぁ……。楽しい酒が飲めると思って忘年会にきたのに、悲しい酒になっちゃったよ。」
オランダ特派員 「おい鉄兜ハゲ。だったらニッポンのお座敷芸の、ドドイツを一曲おしえてやるから、これを口ずさんでりゃ気も楽になるだろう。」
ドイツ特派員 「なんだオイ! ケツの穴野郎が歌うドドイツかよ! 屁みたいなもんだな(笑)。」

(屁世滑稽新聞は無断引用・転載を大歓迎します。
ただし《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=6484)から引用》と明記して下さい。
なお、ヤン・デンネン記者たち外国人特派員の秘密忘年会の模様は、本紙記者が都内の某ブラック企業系居酒屋で一人酒していたときに、たまたまそばの席で行なわれていたのが、聞くとはなしに聞こえてきたのを速記したものですから、当然、速記にともなう誤記などがたくさん含まれていると思います。登場人物の名前も悪酔いしながら書きとめたものですので、賢明な読者諸氏におかれましては、お迷いのないよう……)

 

台湾の高速鉄道(新幹線)が財政破綻必至だという。(『フォーカス台湾』2014年12月29日付

台北と高雄間345キロを結ぶ高速鉄道は日本の新幹線技術をそのまま採用し2007年に開業した。車両は日本で見る「新幹線」そのもので、正式名称は「台灣高速鐵路」だが台湾現地でも「新幹線」と呼ぶ人がいるほどだ。切符の自動販売機が台湾独自の機械だったが、台湾語(中国語)を読めない人間にも購入が可能なように工夫が凝らされている。

高速鉄道が走るまで、台北と高雄の移動は飛行機がメインだった。列車では最速でも4時間半かかったからだ。松山飛行場は台北市内にあり、中心部からも至近なこともあり、かつては国際空港だったが今では国内線中心の空港になり、国内移動の手段として飛行機は日本より気軽に利用されている。特に台北ー高雄間は便数も多いから忙しい時には切符なしで空港に駆けつけ離陸20分前に切符を買って搭乗する、1本乗り遅れれば次の便は数十分待てば乗ることができるという感覚だ。だがここ数年は幸い起きていないものの、台北ー高雄間航空路線では、定期的と言ってもいいほど墜落事故が起きていた。何度もこの路線には搭乗したが確かに気流のためか、航空機の機体の具合かわからないけども激しい揺れが必ずやってくる。

そんな事情もあってか、高速鉄道は「安全性」や運賃が安価なこともあり、利用者数は毎年順調に増えていた。それでも財政的に破綻が避けられそうにないという。いったいどういう背景があるのだろうか。

◆李登輝の威光で日本の「新幹線」採用が決まるまでの紆余曲折

台湾高速鉄道の導入にあたっては紆余曲折があった。そもそも台湾は自国の技術だけで高速鉄道走らせることができなかったので、運用実績のあるフランス・ドイツ勢と日本を競合させ一時はフランス・ドイツ連合がが落札しかけていたのだけども、台湾総統も務めた親日派の実力者李登輝の威光で日本の「新幹線」採用が決まったと言われている。

国土交通省やJRは大喜びだった。が、実際に工事に入ると思わぬ困難が待ち受けていた。鉄道の線路を敷設するためには線路や枕木の他に多量の銅線を使う。工事を行って次の日現場に行くと銅線が見事に盗まれているという事件が連続して発生した。銅は転売の価値があるので盗人が後を絶たなかったのだ。その陰で当初の工期が大幅に伸び費用もかさんでしまった。総工費は日本円にして2兆近くになったが、高速鉄道はなんとか運行開始にたどり着いた。

乗客者数は毎年増加しているのに破綻の危機に直面している背景には、負債の返済期限問題がありそうだ。前述の通り2兆円の工費とその他の技術料などを含め高速鉄道を運営する「台湾高鉄」は470億台湾元の負債がある。そしてその償還期限は当初より35年とされていた。利用者が支払う運賃と負債をはかりにかけると、1日に30万人が利用しないと計算が成り立たない。これはどだい無理な計算である。1億2千万の人口を抱える日本でも東京ー大阪間の新幹線利用者は、1日に約40万人だ。総人口2300万人の台湾で1日に30万人の利用者を想定するのは、最初から破綻を織り込んでいたのでは、と疑われても仕方がないどんぶり勘定だ。

同様の無茶な試算による実質的破綻は我々の近くでも起きている。関西空港だ。関西空港は官民共同出資による「関西国際空港株式会社」により、設立運営されたが、高すぎる着陸料ややはり高額すぎる空港ビルのテナント料などが災いし乗り入れ航空会社が伸びず赤字が続いた。5万円で売り出した株価は1円になり、実質的に破綻して、伊丹、神戸両空港と合わせて「新関西国際空港会社」として近く売却が予定されている(詳細は『紙の爆弾』2月号の本山美彦京大名誉教授「アベノミクスと株式民主主義の欺瞞」をご参照頂きたい)。

◆関空、神戸空港と同じく最初から破綻が運命づけられていた

安価に建設できる「浮島工法」があったのにそれを採用せず、わざわざ費用の高い「埋め立て工法」を採用した関西空港は今でも毎日数センチずつ地盤沈下している。大阪中心部から不便な和歌山近くの海の上に土を盛り上げ散々環境破壊をして「日本初の24時間空港」、「アジアのハブ空港」と実現する道理のない絵空事を並べた関西空港だったが、肝心の空港へのアクセス=鉄道は最初から24時間運行する気などさらさらなく、「ハブ空港」として機能するためには施設面でも航空会社にとっての利便性からも全く話にならない代物で、案の定後発の韓国「仁川空港」にその役は持っていかれた。

また、神戸空港はこともあろうに「阪神大震災」後、ろくろく復興も進んでいないのに「市営空港」としてこれまた、神戸の海の上に建設された「元より破綻が運命づけられていた」空港だ。

関西空港当初の建設費用は1.8兆円だったというが、それが正しい数字である確証はない。また神戸空港がどうして震災復興を後回しにして関西空港から見えるような至近距離に造られたのか、そして伊丹空港を含めた3空港を運営する「新関西国際空港会社」が売りに出され、おそらくは外国資本が運営権を入手するであろうことは、単なる1企業の運営権にとどまらない。国内外の航空行政を政府がコントロールできなくなり、企業の意向が優先することを意味する。

台湾の高速鉄道が破綻しても、日本に住む私たちが即困ることはないけれども、身近で同様の「破綻」が起きていることは知っておくべきだろう。そしてその破綻の原因には「無策」もあろうが「政治的思惑」がはっきり見て取れることも認識しておくべきだ。たとえば台湾高速鉄道の運営権に中国資本が参入したらどうなるかを想像してみれば様々な想像が湧くだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎「シャルリー・エブド」と「反テロ」デモは真の弱者か?
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

政府は穏やかな発言をしている一方、イスラム過激派「イスラム国」に人質2名を殺害されたことで警視庁にはっぱをかけ、千葉県警に合同捜査本部を立ち上げ、海外の情報機関と連携したテロ対策に乗り出している。

◆警視庁が追う「仲介人のニセガイド」

「殺された後藤健二さんは仲介人のニセガイドによってイスラム国に売り渡されたと見られます。それでまずはこの人物の行方を追う作業が始まっています」と警視庁を取材した大手新聞記者。

後藤氏は去年10月25日に「イスラム国」の支配地域にシリア人のガイドと2人で現れたことが確認されている。検問所で一度は制止されたが後藤氏はバスに乗り1人で「イスラム国」の中枢に入った。しかし、これがニセガイドだったとみられる。

「仲介人は自分たちに敵対する国の人間を渡せば、ひとりあたり50万円ほどの金になるといわれてます。ただ、ライバル業者が多いことから一度、仲介すればその名前が知れ渡ることも多く、その情報をまた売り渡す人間もいます。今回の仲介人は一説にはアメリカやイギリスにすでに目をつけられていた人物ともいわれ、エジプトに逃亡したという話も聞かれます」(同記者)

本来、後藤さんが手配したかった現地ガイドは「コーディネーター」とも呼ばれ、運転や通訳、宿泊などの手配を時間計算のギャラで請け負うものだが、トラブルになったときに活躍するのは現地事情に詳しい地元有力者。テロ組織とも交渉できる立場にあるため、こちらは「ネゴシエイター」(交渉人)と呼ばれることもある。今回はこうしたコーディネーターやネゴシエイターらに人脈があるとして、複数の自称記者らが政府に交渉の窓口にと名乗りを上げていた。

◆人質奪還交渉をした事実だけを作りたがる政府の弱みに付け込む

元海外駐在員のジャーナリスト、藤堂香貴氏によると「中東で人質事件があると、政府が奪還交渉した事実だけは作りたがる。それで政府から莫大な手数料を狙った中東ブローカー(交渉人)が出没する」という。

「現地では事件に乗じて金儲けしようと口利きを申し出る者がいるので、ブローカーはその仲介役として暗躍。手付金として数千万円を支払う交渉をして、政府が支払うことになれば、その2~3割をブローカーが手にする仕組み。シリア人のガイドは周囲に“ビジネスになると思って検問所まで同行したが違った”というようなことを話していたという話も囁かれていて、もしかするとガイドは後藤さんをブローカーだと思って接触したところ、ただのジャーナリストだと知って人質に売ることにしたのかもしれません」と藤堂氏。

実際、後藤氏は消息を絶つ直前、知人に「ガイドに裏切られた」と電話をしている。いずれにせよ危険地域では金目当ての自称ガイドが横行しており、これに騙されるジャーナリストが続出している。

さらに危ないのは仲介人とネゴシエイターがグルになっている場合だ。

「人質を取る側と交渉を請け負う側が出来レースをしていると、人質が返ってくる見込みがないのに手付金をもっていく」(藤堂氏)

ほかにもトラブルを装ってガイドの身元バレを防ぐ巧妙なケースもある。ガイドが運転中にわざと事故を起こして、通りがかったテロリストが助けるふりをして人質をさらっていくものだ。この場合、人質は生きて戻れてもガイドの裏切りに気付かないままだというから恐ろしい。

◆外務省に群がる報酬目当てのブローカーたち

テロリストが問題なのは当然ながら、国の混乱に乗じて儲ける連中が後を絶たないことも事態を悪化させている。最新の情報によると日本政府は今回、アドバイザーとして「中東在住の元FBI有力者」を臨時で頼ったという話もあるが、こういう人物もここぞとばかりに報酬目当てで群がってくるともっぱら。藤堂氏によると「実際に役立つのは10人に1人もいないと外務省の人間が漏らしていた」という。

「本来はブローカーに頼らず日本人の工作員がいるといいんです。こういう事態に備えて世界各国に動ける人間を置いておけば、いざという時に頼りになるし、そうしている国は後進国でさえたくさんあるんです。ただ、島国の日本はスパイなど潜入活動に遅れをとっていて、人材育成の段階にすらない」(藤堂氏)

◆世界中に露呈された「海外の危機に弱い日本政府」

結局、動いたのは国内の防犯組織である警視庁。今回はかなりの予算と人員を割いて大がかりなテロ対策に動くようだが、海外事情に精通したスペシャリストは不足していると聞く。

アメリカ政府からは今回、極秘裏に「ヨルダン政府に頼りすぎるな」というアドバイスが日本政府にあったというが、そもそも海外での犯罪捜査に弱い日本は打つ手が限られていた。

かくして、「民間」の自称交渉人が入り込む隙間があったわけだが、まったく役にたたなかったのはごらんの通り。日本政府が海外での危機に弱いことが世界中に露呈したことは、それこそ今後のテロ被害につながりそうだ。北朝鮮の拉致問題が呑気に長い歳月を費やしてしまっているのも頷ける。[ハイセーヤスダ]

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私たちが海外に出かける時は、空港や港の出国窓口で入管職員からパスポートに「出国印」を押してもらう。特別永住者や在日外国人の方であれば「再入国手続き」承認の確認が行われる。そして目的地の国に着くと入国窓口でやはりパスポートに何やらスタンプが押される。これは入国時即発行のビザが発行されたことを意味し、そのスタンプに明記されている期間合法的に当該国に滞在することが許される。

このように渡航前に取り立てて手続きをしなくとも空港や港でビザを発行してもらえる国は手間も時間もかからずに便利なのだが、事前に在日本大使館や領事館にビザの申請を行っておかなければ入国が認められない国もある。これは外国から日本に来られる方も同様で、両国で了解が成立していて空港や港でビザ(Visa on Arrival)が発給される約束を結んでいる国同士は大雑把に言って関係が良好だと言える。

だが、ビザは必ずしも双方向に平等ではない。日本国籍の人が中国や韓国をはじめとするアジア諸国に出かける際はほとんど事前のビザ申請は不要だがつい数年前まで中国からの来日は基本中国当局が許した団体旅行だけであったし、韓国からでさえ日本に来るのには毎度毎度大使館や領事館で事前にビザ申請の必要があった。

また日本人でも短期の滞在ではなく現地での長期滞在や留学などで渡航する時はその国の定めによる査証を申請しておく必要がある。

と、ここまでは海外旅行の経験がおありの方であればご存知の事であろう。

◆激しく簡素化された留学ビザ

外国籍の方が日本にやってくる場合、日本は23種類のビザのいずれかを取得できていないと入国を認めない。23種類の中には「短期滞在」があり、これが「観光ビザ」と呼ばれることの多い最も取得が容易なビザである。事前に日本大使館や領事館でビザの申請の必要がない国からやって来られる方が空港や港の入国審査で押されるスタンプは「短期滞在」ビザである。

一方、ビザの種類によっては取得にかなり手間がかかるものもある。「興行」ビザは主として芸能関係の仕事で来日する人が取得するビザだが、かつては外国人女性を売り物にする飲み屋などがこのビザを利用してアジアから多くの女性を招き入れていた。とは言え飲み屋で「興行」ビザを取得するためには、ショースペース(「興行」で来るのだから何らかの芸を披露できる人であることが前提)の面積や店内の照明の明るさなどを子細に説明する書類の提出が要求された。

今ではそんな煩わしいビザを取得せず、来日している女性が多いと聞く。

私が大学に勤務し始めた当初、海外からの留学生が日本の大学で学ぶために必要な「留学」ビザは、現実的には書類を揃えるのが不可能なほど審査が厳しく、提出を求められる書類の数も呆れるほど多かった。日本で万が一生活費を払えなくなったり問題が起きた際に責任を取る「身元保証人」を立てることが留学生には求められていた。しかしこの「身元保証人」制度は全く現実味を欠き、更に悪徳業者を蔓延らせる原因となったため、現在では廃止されている。

知り合いもいない国に勉強をしに行くのに、「万が一の際は生活費やその他一切を私が保証します」などと名乗り出てくれる人は余程の篤志家か、さもなければ下心のある人間だ。実際当時大学に入学してきた留学生に保証人との関係を聞いてみると、どうも腑に落ちない話が多いので、一度何人かの「身元保証人」の方にお会いしたことがある。全員があっせん会社により紹介を受けた「赤の他人」だった。

「留学」ビザについては、その後入国管理局が大幅な方針転換を行い、大学などの「合格通知」(入学許可書)と顔写真だけあればビザが取れるようになった。激しすぎる簡素化に「こんなに乱発して大丈夫なのか」とかえって心配になった記憶がある。

◆「外国人積極的受入れ」という大転換

さて、ここからは近未来の話だ。日本の人口が急激に減少していることは読者の皆さんも耳にされていることだろう。そこで政府は人口減少を穴埋めする手段として「外国人の積極的受入れ」をどうやら内定したようだ。これは個人だけでなく社会全体、また来日する外国人の方に多大なな影響を及ぼす政策の大転換なので、本当はもっとマスコミが取り上げてもよさそうなテーマであるのに、あまり話題になっていない。

政府の表面上の理屈はこうだ。

「近い将来日本では介護職、看護職をはじめとして、労働人口の不足が確実であるので、社会保障制度維持のためにも海外から労働力を受け入れやすくする方向で検討する。また、高度な技術や能力を保持する外交人については国益の観点から在留期間の延長を可能と出来るよう検討する」(情報筋)

とうものらしい。つまり単純労働や知的労働にかかわらず、労働人口が減るので「使える外国人はいらっしゃーい」ということだ。

日本の入国管理制度の問題についてはその差別性について古くから批判があった。その観点から言えば門戸が広がることは一見望ましいことのようにも受け取られかねない。しかし政府の本音はそんなヒューマニスティックなものではない。

現在給与所得者の40%近くを非正規労働者が占めている。企業や行政は人件費を「コスト」と平然と語る時代になり、更なる「コスト削減」=「人権費削減策」はないものかと思案した時に目を付けたのが「外国人労働者」だ。

既に「研修」と言うビザで多くの実質的「外国人労働者」が日本で働ているが、彼らは名目が「研修」なので給与など待遇面について日本人の労働者と同等の権利が認められていない。いわば「潜りの出稼ぎ労働者」だ。

それでは限界があるので、ほぼすべて「オープンにしましょう」と言うわけである。

◆外国人労働者から「国民健康保険」「年金」を徴収する日本国

多様な人種が生活する社会はお互いが平等な条件で生活でき、かつ相互理解が成立すれば「成熟した社会」となるが、現在の日本に果たしてその資格があるだろうか。政府や企業経営者の腹の内は単純に「安くて使いやすい労働力の海外からの供給」だ。日本人の間で所得格差が広がり、将来の雇用が全く不安定な中に、外国人労働者がやってくればどうなるだろうか。

残念ながら、待遇の悪い境遇で働かざるを得ない日本人が外国人労働者を温かく迎えるとか考えにくい。いや、非正規の日本人労働者より更に安価で雇用できる外国人労働者が採用されると、日本人労働者の解雇が増えるだろう。そうなれば個人に責任はないのに不要な「外国人差別」が助長されるだろう。

欧州ではすでに経験済みの事だ。安価な外国人労働者に職場を奪われた人々が極右団体に集結し外国人排斥を叫ぶ。

日本ではそんな事態はまだ起きていないのに、これでもか、これでもかと「外国人排斥」が叫ばれているではないか。こんな状態で外国人労働者を迎え入れて、穏便に事が運ぶはずがないではない。更に来日した外国人労働者を待ち受けているのは差別的な社会保障制度だろう。現在でも日本に半年を超える滞在をする外国人には「国民健康保険」への加入が義務付けられている。怪我や病気で医者にかかった時「自費での治療」は高額すぎるので、このように健康保険への加入が義務づけられているのだ。この判断は合理的である。だが将来の外国人労働者が急増した時にも、この制度は維持されるだろうか。

それにもまして、数年あるいは10年を超える期間、日本に滞在し労働する外国人労働者の「年金」はどうなるのだろうか。現在国民年金の受給資格は25年以上国に年金を納めている人に限られる。25年ではあまりにも長いので短縮すべしとの議論があるものの結論は見ていない。だが私から見れば納付期間の長短に関わらず、既に年金原資は枯渇している。10年後65歳で国民年金を受け取れる人は皆無だと思う。

そこへ外国人労働者を持って来て、政府はおそらく「将来の支払い」と言う空手形と引き換えに外国人労働者からも「国民年金」を徴収するだろう。義務と言われれば支払いは拒否できないし、給与からの天引きであれば事情が呑み込めない外国人労働者は「ボッたくられる」だけのことだ。

目先の「人件費」=「コスト」削減しか頭にない、政府や経営者団体が社会全体に起こる変化に細かく対応する覚悟があるとは到底考えられない。

1月26日から始まった通常国会でも、この問題は議論の端々に語られることだろう。注目していきたい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎イオン蔓延で「資本の寡占」──それで暮らしは豊かで便利になったのか?
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる


イスラム国の人質になっていた後藤健二さんが殺害されたようだ。まずご遺族、関係の方々にお悔やみを申し上げたい。

結局日本政府は湯川さん、後藤さんの解放に関して「全く無力」だった。同時にマスメディアも問題の本質を突く報道は少なく、連日政府の無策振りを「膠着状態か」と報じるばかりで、独自の視点や取材からの報告は目につかなかった。

後藤さん殺害の情報に接して、安倍は目に涙を浮かべて「テロリストたちを決して許さない。罪を償わせるために国際社会と連携する。日本がテロに屈することは決してない」と述べている。

誤解を恐れずに言おう。

湯川さん、後藤さんの殺害を安倍は内心ほくそえんでいるに違いない。

◆「テロ」との戦いに「勝利」は絶対にない

時あたかも「有事法制整備国会」開催中である。お二人の犠牲は最大限安倍に利用されるだろう。そしてそれを報道が後押しするだろう。野党も全くあてにはならない。共産党が「集団的自衛権」に沈黙する(容認する)可能性だってあろう。

だから非力なこのコラムでは精々挙国「反テロ」ファシズムに異を唱える。

「テロ」との戦いに勝利は絶対にない。

「テロ」の根源は何か?

「テロリズム」の本質とは何か?

「戦争」と「テロ」はどのように違うのか?

「戦争」は許されるけども「テロ」は絶対悪なのか?

これらの問いに1つの誤りもなく、正確な回答を出せないようでは「テロリズム」を語る資格はない。

◆テロリズムに栄養を与える要素が世界中には溢れている

爆弾を爆発させてビルを壊したり、拳銃を乱射して多数の死者を出しても、その行為自体が目的であれば「テロリズム」とは呼ばない。単なる「爆弾犯」や「乱射犯」だ。

「テロリスト」とは何らかの目的を持ち、それを獲得するために行われる、破壊活動・実力行使活動を意味する。「白色テロル」や「赤色テロル」といった言葉が使われたのは正に実力行使に、それぞれの立場からの政治的目標があったからに他ならない。

とすれば、「テロリズム」を根絶するためには、暴力や武力を用いても「獲得したい」政治的目標を消滅させる他に手段はない。

そのようなことは不可能だ。世界はそれほど単純ではなく寛容でもない。歴史を背景とした長年の抑圧や資本による蹂躙など「テロリズム」に栄養を与える要素は世界中にあふれている。民族、宗教、資本のせめぎあい等は時に交渉を拒絶する。

「テロリズム」からなるべく離れた場所にいたいならば、最低限今日的世界における「強者(抑圧者)」の側に一方的に身を置かないことだ。他に手はない。

最悪の選択は構造的に勝利がありえない「テロ」と戦うなどと宣言することだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

まだ生きていたのか! 1月27日の新聞報道を見て声に出してしまった。本当は奴が生きていることは書店で質の悪い月刊誌の表紙などで名前を目にするから知ってはいたのだけども、懲りもせずにまたぞろいじましい老醜をさらしているので、徹底的に叩かせていただく。

歴史改竄主義確信犯で、差別者、日本財団(元日本船舶振興会)の理事を務めたこともある渡辺昇一だ。渡辺は『知的生活の方法』で名前が売れた後に、これでもか、これでもかと歴史改竄運動の先陣を走り続けてきた人物だ。80年代には「またあのアホが」程度にしか相手にされなかったけれども、世情の変遷と共に不幸なことにこのような「法螺吹き」が堂々と闊歩する時代になってしまった。渡辺は「南京大虐殺の被害者は40人から50人」、「沖縄戦での集団自決は左翼に先導された人が騒げば金が出ると堕落した結果」、「ヒットラー、ムッソリーニは共産主義者」、「適度の放射能とは、実際にどのくらいか。著者はおそらく毎時20ミリシーベルトと毎時50ミリシーベルトの間にあるのではないかと推定している」(ちなみに毎時20ミリシーベルト被爆すると全員が死亡する、民間人の法定上限は「年間1ミリシーベルト」だ)などの真顔で述べる人間だ。

◆相も変わらずの「何が何でも朝日新聞憎し」

奴を団長に8700人余名が笑わせてくれる提訴を1月26日、東京地裁に行った。新聞の見出しではこうだ。

「朝日慰安婦報道で国民名誉傷つけた」

ほー、どんな訴えなのだろう記事によると、

「朝日新聞従軍慰安婦報道について、8700人余りの市民が『誤った事実を国際社会に広め、日本国民の人格権や名誉を傷つけた』として、同社に一人1万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした。原告には研究者やジャーナリスト、国会議員らも含まれている。追加訴訟で原告数は最大で1万3千人程度になる見込みだという」そうだ。

さらに「訴状では『日本の官憲が慰安婦を強制連行した証拠はない』と主張。朝日新聞が1980~90年代に報じた故・吉田清治氏の証言に基づく記事などを挙げ≪日本軍に組織的に強制連行された慰安婦≫というねじ曲げられた歴史を国際社会に広めた原因になった』と指摘した」としている。

そして原告団長の渡辺昇一は、「朝日新聞が国民に恥ずかしい思いをさせていることに心から怒りを感じている」と述べている。相変わらず渡辺の「何が何でも朝日新聞憎し」の姿勢は変わらないようだ。

私は渡辺昇一の30年来の言論活動に「心から怒りを感じている」。正直早く帰天なさればと思う。

誣告罪(虚偽親告罪)は刑法にしか適用されないから、この提訴は原告敗訴で終わるだけだろうが、にしても税金を使ってまったく意味のない裁判が行われることに「怒りを感じる」。

◆政府と「歴史改竄主義者」の妄動こそが国際社会では恥

「スラップ(SLAP)訴訟」という概念がある。大企業や政府などの力の強い、また経済的に圧倒的な強者が弱者や権力のない個人に対して恫喝や発言の封じ込めを目的に提訴する裁判を意味する。読売新聞が頻繁に利用する手法だ。渡辺らの行動は権力者のそれではないものの、奴らは明確に「表現圧殺・歴史改竄=歴史殺し」を目的としている。原告数を組織動員し学者や国会議員なども加えてることを勘案すれば、この訴訟は分かりやすい「権力者」や「強者」のそれではないけれども、目的と性質は限りなく「スラップ訴訟」に近い。悪質極まりない。

本コラム「『朝日新聞叩き』で進行する『原発事故の本質』隠し」 の中でも触れたが、朝日新聞の「慰安婦報道問題」は全く枝葉末節の事実誤認であり、朝日新聞は謝罪する必要すらない。何故ならば「慰安婦問題」については報道機関ではなく日本政府や日本軍による証拠書類が多数残されており、吉田清治氏の証言は一民間人の発言に過ぎないからだ。

日本国内だけでなく、国連も「慰安婦」についての調査結果を1996年に報告書として発表しており、その際に吉田発言は全く引用されていない。実は昨年10月、外務省の高官が国連に派遣され1996年の国連調査を「訂正してくれないか」と願い出たが、「バカなことを言うな」と国連に一蹴されている。この件は日本国内ではほとんど報道されていないけれども、菅官房長官の意向で「報告書訂正願い」が行われたのだ。ニューヨークタイムスでは「国粋主義者安倍の意向を受けた」や「歴史改竄主義者」と散々な書かれ方をしている。

国際社会で恥をかかされているのは朝日新聞報道ではなく、政府を含めた「歴史改竄主義者」の妄動であることが明確にわかる。

笑わせてくれるのは、「国際社会で恥をかかされたから一人1万円慰謝料を払え」というユスリ同様の要求だ。今8700余名が原告に名を連ねていると言うが、その人々全員の氏名をどこかのサイトで公表してもらえないものだろうか。また、最終的に追加訴訟で原告数が1万3千人程度になる見込みらしいが、その数が不思議なことに「在特会」の推定構成員数と一致しているのはどういう偶然だろうか。

国際社会で恥をかかされて慰謝料が請求できるという論理に則れば、政府の不祥事は全て請求対象になるではないか。殊に東京オリンピックで招致スピーチで完全な嘘を発言した安倍には1億2千万人全員が慰謝料請求を行わなければならない。

歳を取ってボケが進行しているのだろうが、馬鹿もたいがいにしろ!渡辺!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎「シャルリー・エブド」と「反テロ」デモは真の弱者か?

諸情報を総合すると残念ながら湯川遥菜さんがイスラム国によって処刑された確度が高そうだ。湯川さんはPMC(Private Military Company)JAPANという会社の社長で、この会社は「民間軍事会社」と名乗っている。あくまで国外での軍事的人命救助や防御を「業務目的」にしているが、「業務実績」はない(国内で「民間軍事会社」は当たり前だが憲法、法律違反だ。目的の如何を問わず「軍事行動」を行えば「内乱罪」や「凶器準備集合罪」で重刑に処される)。

◆二人の人質を繋ぐライン

この会社のサイトには現在も人質として囚われている後藤健二さんの写真や湯川さんと後藤さんが一緒に移った写真が掲載されている。それだけでなく、湯川さと後藤さんが昨年5月イラクで共に現地メディアの取材を受けている動画も掲載されている(応対をしているのは英語が話せる後藤さんで、おそらく湯川さんが映像を撮影したと思われる)。

さらに、英語を中心として構成されている同社のHPには「INDEPENDENT PRESS」というタグがあり、これをクリックすると昨年5月シリア、トルコ国境で後藤さんが撮影した写真を掲載した後藤さんの所属する(実質的には後藤さんの個人の)事務所住所などが掲載されたページへ飛ぶ。

湯川さんは同社HPの中に「CEOブログ」を持っていて活動内容などを記載している。田母神俊雄との交流や彼自身の国際観が綴られており、湯川氏の歴史観や世界観は田母神氏に近いようだ。

◆後藤健二さんとJICAの関係

先の本コラム記事で短く「なぜ今回の人質事件では『自己責任』論が政府から語られないのか」と書いたが、その後の取材でいくつかの事が明らかになった。湯川さんと後藤さんは昨年少なくとも複数回以上イラクやシリアを二人で訪問している。湯川さんは軍事業務目的というよりは取材(もっと言えば単なる訪問)で、後藤さんの取材アシスタント的色合いが濃かったこと(湯川さんは英語もアラブ語も話せないが、ビデオカメラの撮影は手慣れている)。

後藤さんは「子供」の救済などをこれまで中心に手掛けてきたと報道されてるが、紛争地帯の取材経験も少なくない。また紛争地帯を取材するフリージャーナリストが子供に想いを馳せて写真集を出したり、活動することも珍しいことではない。昨年の度重なるイラク、シリア訪問は紛争地取材が目的だったことなどだ。その一部は「報道ステーション」などテレビでも放送されている。また後藤さんは過去、次のような仕事もなさっている。

・JICA研修/広報DVD・ビデオ 『現場に見る人間の安全保障 Ⅱ』和英版
(英版『PROMOTING HUMAN SECURITY IN PRACTICE Ⅱ』)
2007年05月 JICA(国際協力機構)
・JICA研修/広報DVD・ビデオ 『現場に見る人間の安全保障 Ⅰ』和英版
(英版『PROMOTING HUMAN SECURITY IN PRACTICE Ⅰ』)
2006年05月 JICA(国際協力機構)
・外務省 安全対策管理ビデオ 『脅威から我が身を守れ!』
2005年04月 NHKプロモーション

◆「最初から湯川は捨て石だった」

そして、政府と近い消息筋からは意外な言葉が漏れてきた。

「最初から湯川は捨て石だったんだ。その為に国が相当額を出資している」

この発言がどこまで信憑性を持つか私には判断できない。だが、日本政府は昨年8月頃には既に湯川氏が人質となった事を知っていたはずだ。そして湯川氏が社長のPMC JAPANは1月31日現在もHPを開設したままだが、この内容を犯行グループが見れば、解放など望めないことは素人でもわかる。何故不利な証拠以外の何物でもないHPを放置した(させた)のだろうか。

湯川氏がAK47の試射をしている映像までもがいまだに掲載されたままだ。余談だがそこからは彼が武器の扱いに慣れてないことが伺われる。セミオートとフルオートでの試射だが最新型AK47は少年でもそれほど反動を受けないのに、湯川氏はセミオートの単射でも衝撃を体に強く受けて肩を後ろに反らしている。

このシーンを撮影したのはおそらく後藤さんだろう。

英語も話せない湯川さんが、紛争地帯取材に赴くことは、極めて不自然だ。だから後藤さんの同行という形にしたのだろうけれども疑問は残る。湯川さんは中東でも「民間軍事会社社長」を名乗っている。

消息筋に質問してみた。

「捨て石ってまさか、最初から殺されたり人質になることを想定していたのか?」
「そんなことは答えられるはずがないだろう。でも現実が一番雄弁に事実を語ってるだろう」

私個人で真相を探るのには限界がある。金も人手もあるマスコミこそ金太郎飴のように毎日代わり映えのしない報道をしていないで、真相に迫る事実を暴き出そうとは思わないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
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