鹿砦社代表 松岡利康
本日9月25日で75歳になりました。いわゆる後期高齢者になったということです。かつて若い頃は30歳以降の人生は見えませんでした。それが齢を重ね75歳──思い返せば、いろいろあった人生でした。自分で言うのも僭越ながら浮き沈みの激しい人生だったな。もう何も起きず、少しは業績をアップさせ、あとはやり残した仕事を編纂して形に遺しフェイドアウトしたいと思っています。このままあと5年ほどは何とか生きるとして、1年に1冊、まとめることができれば、と考えています。どのテーマも、それなりに適宜書いてきているので、それらを丹念に整理して書き連ねていきたい。
知人に高部務という人がいます。彼は私より1つ上ですが、トップ屋として、この業界に入ったのは10年余りも先でした。私はと言えば、10年間、出版とは何も関係のない業種でサラリーマン生活を経て、円安のあおりで会社整理するということで、後先考えず、「えいっ!」とばかりこの業界に入りました。これで良かれ悪しかれ人生が変わりました。
幸い、府川充男という人が手取り足取り編集スキルを教えてくれました。板坂剛さんと知り合ったのもこの少し後で、当時2人は対立していたとのことですが、こういうことに無頓着な私は等距離で付き合っていて、今もそうです。お二人とも人一番過激な方だったということですが、板坂さんなど、かの『噂の眞相』を廃刊の危機に追い込んだ「皇室ポルノ事件」を起こしています。
その後、ひょんなことで鹿砦社は路線転換をするわけですが、そして知り合ったのが高部さんでした。その頃にはこの業界で成功していて、府川さんや板坂さんとは違う内容を教えていただきました。このことでブレイクするわけで高部さんには感謝しています。90年代半ばの頃でした。
そして今、高部さんは時代小説の分野に関心を持たれ、これに専念されています。鹿砦社からも2冊上梓しています。3冊目ももうすぐ出ます。みずからが関心を持った課題に、わざわざ地方の役場を尋ねると、真剣に資料を探したり望外の協力をしてくれるということです。私も高部さんを見習わないと……。
私の前後の世代は、多くが学生運動に関わり、その人たちの友人に内ゲバで命を落とした人も多いです。高部さん然り、大学の先輩でアメリカに在住の矢谷暢一郎さん(ニューヨーク州立大学名誉教授)もそうです、これは2人とも表立って書いているので言ってもいいでしょう。また、私が学生の頃、学費値上げ阻止闘争で逮捕・起訴された際に弁護人になってくれた弁護士は、弁護士1年目で私たちの弁護人に就いてくれましたが、彼は一緒に生協活動をやった後輩を連合赤軍事件で亡くしています。当時はこんなことがよくありました。身近な友人を内ゲバで亡くし、その後どう生きてこられたのでしょうか、おそらく他人には言えないものがあると思います。
私の場合、友人ではありませんが、時々ビラ撒きで一緒になった中核派の活動家が、ある日突然、内ゲバで殺されたという報に接した時はショックでした。真面目な方だったということです。ビラ撒きでも、そんな雰囲気を感じさせる方でした。
思い出すことも多いですが、やはり学生時代にくだんの学費値上げ阻止闘争で逮捕されたこと(72年2月1日)と、「名誉毀損」容疑で逮捕されたこと(2005年7月12日)が特に記憶に残ります。当たり前ですよね。


まあ、それにしても、これまでよく生きてきました。人間、生きてりゃ何とかなるということでしょうか。あとしばらくお付き合いください。
今、想うのは、いい時も、地獄のような時もありましたが、「人生に無駄なものなど なにひとつない」ということでしょうか。
