トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資金提供を再開

黒薮哲哉

トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されていたことが分かった。資金提供の再開措置を受けたのは、USAID傘下の全米民主主義基金(NED)である。

メディア黒書でも報じてきたようにNEDは、俗にいう「自由主義陣営」の勢力を拡張することを目的とした組織である。第2のCIAとか、「白いCIA」とも言われている。海外のメディアや市民運動を資金面と技術面で支援することで、米国よりの世論誘導を形成してきた。設立者は、ドナルド・レーガン。

たとえば香港の「雨傘運動」のスポンサーはNEDだった。ニカラグアやベネズエラの政情を混乱させ、クーデターを誘発させたのもNEDである。トランプ政権は、USAIDの廃止を表明したのち、日本の一部のメディアや「ジャーナリスト」に対しても、NEDを通じて資金提供を行っていたと述べた。

トランプ政権下でのNEDの扱いについて、メディア黒書は、3月12日付けの記事で、「存続されるのではないかとする見方もある。筆者も存続の可能性が高いとみている」と論評していたが、資金提供が再開されたのは3月10日であるから、メディア黒書の記事を公表した3月12日には、 既に資金提供の再開が決定されていたことになる。

以下、NEDのウエブサイトに掲載された3月10日付け記事の翻訳である。AI翻訳に多少の手直しを加えた。

※出典 https://www.ned.org/ned-welcomes-state-departments-initial-steps-towards-restoring-funding/

ワシントンD.C.、2025年3月10日-本日、全米民主主義基金(NED)は、1月下旬から利用不能になっていた議会が承認した資金へのアクセスを回復しました。NEDは、国務省が制限を解除し、NEDの議会承認資金および外国援助交付金の回復を開始した措置を歓迎します。これは、NEDが世界中の自由の推進という使命を継続できるよう確保するための重要な一歩です。

「ルビオ国務長官のリーダーシップの下でこの措置を講じた国務省を称賛します」と、NED理事会会長のピーター・ロスカム下院議員(元議員)は述べました。「これは、キューバ、ベネズエラ、イラン、中国、ロシアを含む抑圧的な体制下で民主主義の第一線を守る活動家を支援する能力を完全に回復するための重要なステップです」

この動きは、1億6700万ドルの拠出金および議会がすでに承認した7200万ドルの追加拠出金を含む、議会が承認した資金の不正な使用拒否を受けて、NEDが3月5日に提起した訴訟に続くものです。

「国務省の措置を深く感謝しています」と、NED社長兼最高経営責任者(CEO)のデイモン・ウィルソン氏は述べています。「NEDが世界中で民主主義と自由を推進することで米国を支援できることを保証する、永続的な解決の実現に向けて引き続き努力していきます。より自由でより繁栄した世界は、アメリカの安全を強化し、経済成長を促進し、アメリカのグローバルなリーダーシップを強化するものです。(以下、略)

トランプ政権は、次々と斬新な改革を進めているような印象があるが、「自由主義陣営」の維持という米国の根本的な方向性は何も変わっていない。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年5月14日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

「あいりん総合センター」が解体されたら、釜ヶ崎の困窮者はどこへ行けばいいのだ……

尾﨑美代子

センターが解体される。困窮者はどこへ行けばいいのだ。

5月15日、大阪市議会で、新今宮駅前にどんと建つ「あいりん総合センター」、通称センターが解体されることが決まった。維新の会と共に解体したいと考える人たちは「耐震性に問題がー」と言っていた。しかし、それが嘘だったことは、「問題だー」と叫び始めて以降、何年間も問題視していなかったことからも明らかだ。「老朽化して危ない」ともいわれるが、70年に作られた際、この頑丈な構造物は100年持ちまっせ!と言われてたのだ。その後、何度も震災にあいながら太い柱はそのままだ。何より、ここは釜ヶ崎の人たちが生活するのに重要ななくてはならない場所だった。ここに来れば本当になんとかなった場所だった。それが解体される。次に出来る構造物に、そうした人たちが入れるスペースはほとんどないだろう。

この大量の荷物の下に台車が置かれ、おじさんはそれを必死で押しながら地区内で休める場所を探している

上の写真のように、台車に全財産積んで、休める場所を探す人たちはまだまだ釜ヶ崎の周辺に大勢いる。これらの写真は、この半年の間に撮った写真だ。私が昼のバイトから帰る途中で会うおじさん、高齢で足が悪く5メートルを数分かけて歩く。 

センターがあった時は昼間センターで段ボール敷いて休んでいたのだろう。足も顔も洗えるし、洗濯も出来る。シャワーも浴びれた。釜ヶ崎に来れば、毎日どこかで飯が食える。釜ヶ崎地域合同労組の炊き出しは毎日昼と夕方にある。朝飯や昼飯があちこちでやってる。弁当を配る人たちもいる。中には貧困ビジネスの連中もいる。「うちのアパートに入れますよ」と甘い言葉で勧誘している。いい物件ならばよいが、生活保護費をむしり取る酷いところもある。気いつけてや。 

それでもどこかで飯が食える。冬になれば冬物、夏になれば夏物をあちこちで「放出」してくれる。セーターやジーパンも露店で100円で買える。三角公園の「西村商店」でも300円だ。月初め、西成警察横東側の「子どもの里」で、毎週水曜日、西成警察西側の「いこい食堂」前でバザーが出て、かみそり、石鹸、タオル、靴下、下着も安く買える。生活に困った人には本当に住みやすい釜ヶ崎、そこに住む人たちが大切にしてきたセンター、それが解体される。

この国で、貧困や差別がなくなるというのならばまだしも、今後も生きるのに難儀な人たちはもっと増えていくだろう。 今でも、炊き出しの列には30、40代の人も並んでいるで。

この釜ヶ崎は、本当にふところの広い町。ニッカポッカ履いた鉄筋の兄ちゃんが、立ち飲み屋で大きな縫いぐるみ抱きながら飲んでても誰も何もいわない。女装するおじさんも山ほどいる。誰も何もいわない。いっとき、Tバックで釜ヶ崎を闊歩する兄さんもいたな。さすがにそのままうちの店に入ろうとしたから、「兄さん、店に入るときはズボンはいてな」といったけど。

罪を犯し刑務所に服役し、出てきた人も多い。ある時、店で仕事も年齢も全く違う、ほとんど接点のない客同士が、目で挨拶するのを見た。話はしないが、必ず「元気か」みたいに目で話をしている。親しい客の方に「あの人、知っているのか?」と聞いたら、「刑務所で一緒だった」という。突然店に来なくなり、数年後また顔を出すようになった人に、普通なら「久しぶり。どこへ行ってたの?」と聞くだろうが、私は聞かない。「久しぶりやね」というだけ。病気で入院してたか、借金が膨れて飯場に入ってたか、あるいは服役していたか。間違っても、故郷に戻って家族と楽しく暮らしていた、などという人はいない。素性も前歴も家族の有無なども、こちらからは聞かない。今でこそ、生活保護など受けたから本名を教えてくれる客が多いが、昔は労働者ばかりで、多くは偽名。山ちゃんなんか10人以上いた。のっぽ山ちゃん、ちび山、おデブな山ちゃん、がりがり山ちゃん、黒い山ちゃん、犬好き山ちゃん、女好き山ちゃん……仲間に刺されて亡くなったバンダナ山ちゃん。素性も前歴も関係ない。釜ヶ崎人情ではないが、「誰に遠慮がいるじゃなし じんわり待って出直そう」が出来る町だ。

星野リゾート近くのコインランドリー前に立てられた非常に差別的な幟。「浮浪者出禁」と書かれている

本当にこの町はどうなるのだろう。もう一度言うが、貧困や差別が無くなるのならばまだしも、無くなるどころか増えていくのだから。こういう町がひとつくらいあってもいいではないか。いや、なければ困る人たちがたくさんいるではないか。 

そのために、西成特区構想を進める維新の会こそ解体していこう!

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

CHALLENGERに相応しい男、立嶋篤史出場!

堀田春樹

22年ぶりのニュージャパンキックボクシング連盟興行出場の立嶋篤史は前日計量との戦いはパスしたが、前田浩喜には力及ばず倒されてしまった。

WBCムエタイ日本スーパーバンタム級とNJKFバンタム級のそれぞれ4名参加の王座決定トーナメントは勝ち上がった嵐vs星拓海、繁那vs藤井昴で6月8日に決定戦となった。

小林亜維二が右フック一発で喜多村誠を倒す世代交代を見せ付けたノックアウト勝利。

◎NJKF CHALLENGER.8(2025.2nd) / 4月27日(日)後楽園ホール17:15~21:45
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

◆第9試合  WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

1位.嵐(=坂本嵐/NJKF同級Champ/KING/ 2005.4.26東京都出身/ 53.52kg)
18戦13勝(6KO)3敗2分
VS
2位.山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード/2001.10.31大阪府八尾市出身/ 53.1kg)
13戦8勝(3KO)4敗1分
勝者:嵐 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:梅下29-28. ノッパデーソン29-28. 中山29-27

初回、ローキックやジャブ等、牽制から次第に激しくなっていく中、前蹴りや飛びヒザ蹴りを見せた嵐。第2ラウンドにはヒザ蹴りに来る山脇飛翼にカウンターの右ストレートでノックダウンを奪った。

嵐はこの日も前蹴りを鋭く繰り出した

しかし初回からローキックでジワジワ攻めていた山脇は第3ラウンドには嵐の勢いを止め、もう少し蹴っていれば逆転も有り得た流れも試合終了。ノックダウンを奪った嵐がポイント優ったが、苦戦した試合だった。

山脇飛翼のローキックで圧される嵐は何とか踏ん張った

◆第8試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

4位.JIN(MA日本同級Champ/楠誠会館/2006.3.9大阪府柏原市出身/ 53.15kg)
17戦10勝(3KO)7敗
VS
3位.星拓海(IDEAL/2005.7.26東京都練馬区出身/ 53.2kg)10戦7勝(2KO)2敗1分
勝者:星拓海 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:多賀谷28-29. ノッパデーソン28-30. 梅下28-30

初回、両者の上下のパンチと蹴りで様子見の中、徐々にパンチの距離に移る。

星拓海とJINの蹴りの応酬。星拓海はアグレッシブに攻め優った

第2ラウンド、よりアグレッシブに星拓海の前蹴り、ハイキック、パンチの圧力が増し、第3ラウンドも星拓海が自分のリズムを崩さず、首相撲になっても優位さを維持し、JINの攻めを躱して打ち返す上手さを見せて判定勝利した。

星拓海の前蹴り、三日月蹴りと言われる肝臓狙いがヒット

◆第7試合 フェザー級5回戦

立嶋篤史(元・全日本Fe級Champ/ASSHI-PROJECT/1971.12.28東京都豊島区出身/ 57.5→最終計量57.15kg)101戦42勝(KO)51敗8分
VS
NJKFスーパーバンタム級4位.前田浩喜(CORE/1981.3.21東京都出身/ 56.85kg)
53戦31勝(19KO)19敗3分
勝者:前田浩喜 / KO 1ラウンド 1分56秒 / テンカウント
主審:中山宏美

初回、動きの良さで優る前田浩喜がローキックで立嶋篤史の脚を狙う。立嶋はローキックを返しながらどんな戦略で戦っているか。両者の蹴りが幾らか交錯する中、前田のサウスポーからの左ローキックが立嶋の右足にヒットするとあっけなく跪くように崩れ落ちた。

ローキックは前田浩喜が優り、立嶋篤史は敗れ去ったが戦略は如何なるものだったか

カウント内に立ち上がるかと思われたが、思うように脚が動かなかったか、テンカウントされてしまった。

ローキックを貰ってノックダウンした立嶋篤史、立ち上がれなかった

◆第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

3位.繁那(R.S/2004.1.28京都府出身/ 55.3kg)16戦12勝(7KO)2敗2分
      VS
祖根亮麻(大和/1997.5.8沖縄県那覇市出身/ 55.05kg)9戦3勝(3KO)5敗1分
勝者:繁那 / TKO 1ラウンド 1分55秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

ローキックで様子見から、やや繁那のパンチと蹴りの勢いで優る。祖根亮麻をコーナーに追い込みヒザ蹴りをヒット。更に追い込んでヒザ蹴りヒットでノックダウン奪うとレフェリーがカウント中にストップして繁那の勝利となった。

繁那が圧倒していく中の蹴りの牽制。祖根亮麻は徐々に追い込まれる

◆第5試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

NJKFスーパーバンタム級7位.中島凛太郎(京都野口/ 55.28kg)11戦5勝5敗1分
     VS
藤井昴(KING/ 54.9kg)5戦3勝(1KO)2分
勝者:藤井昴 / 負傷判定1-2 / テクニカルデジション 1ラウンド1分52秒
主審:梅下湧暉
副審:ノッパデーソン10-9. 宮沢9-10. 中山9-10

両者、上下の蹴りの様子見から首相撲に移ると、開始1分弱で偶然のバッティングにより一旦中断。中島凛太郎にダメージが大きかった模様。

再開後、更に30秒ほど経過したところで中島のローキックで藤井昴に股間ローブローが入ってインターバルが与えられた。

再開後、更に30秒ほど経過したところで再び前蹴りの交錯で藤井昴に股間ローブローが入った。今度はダメージ深く、試合続行不可能となって負傷判定となった。

ほぼ互角の展開だったが、トーナメント上位進出の条件が掛かっており、藤井昴が辛くも負傷判定勝利となった。

中島凛太郎のローキックが股間ローブローとなった

◆第4試合 69.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ/2006神奈川県出身/ 68.8kg)
12戦9勝(5KO)2敗1分
VS
喜多村誠(元・日本ミドル級Champ/リアクトジム湘南/ステラ恵比寿/1980.7.22福岡県出身/ 68.65kg)69戦40勝(23KO)18敗10分1NC
勝者:小林亜維二 / TKO 1ラウンド 2分59秒 /
主審:多賀谷敏朗

パンチとローキックの様子見の攻防から、やや喜多村誠が圧力掛けた前進も、ローキックの交錯は小林亜維二が圧力掛け優っていく。

喜多村を蹴りからコーナーに詰めると強打で連打。後ろ蹴りも見せた亜維二が主導権を奪った攻勢を維持。喜多村も首相撲に移ったところで右ヒジ打ちを入れるベテランの技も上手かったが、パワー、スピードで優る亜維二はパンチの交錯の中、強烈な右フックが喜多村のアゴにヒットすると最下段ロープに喉を引っ掛けるように前のめりに倒れ、レフェリーはノーカウントで試合ストップした。

小林亜維二の強烈な右フックが喜多村誠にヒット、この後、前のめりに倒れる

◆第3試合 NJKFフライ級次期挑戦者決定戦3回戦

2位.永井雷智(VALLELY/ 50.75kg)8戦7勝(5KO)1分
      VS
3位.高木雅己(誠至会/ 50.65kg)13戦7勝(5KO)6敗
勝者:永井雷智 / KO 2ラウンド 39秒 / カウント中のタオル表示による棄権
主審:梅下湧暉

前回2月2日に股間ローブローによる永井雷智の試合続行不可能となった試合の再戦(永井の負傷判定勝利)。不完全燃焼を払拭する決着戦。

両者様子見の中、永井雷智の右ストレートヒット。首相撲でも優位に進め、連打右ストレートで攻勢を強める。蹴りも永井が優り、パンチ連打から右ストレートでノックダウンを奪う。

第1ラウンド終了後、高木雅己は意識が錯乱か、フラフラとニュートラルコーナーへ向かい、レフェリーに青コーナーへ促されるまで気付かない様子。

第2ラウンドも永井雷智のパンチと首相撲の圧力から右ストレートヒット。力を振り絞ってパンチで向かう高木に返しのヒットを見せる永井。グロッギーになった高木に容赦なく連打し、ノックダウン奪うとカウント中に陣営よりタオル投入され永井のノックアウト勝利となった。

前回の不完全燃焼を払拭する圧倒を見せた永井雷智。蹴りからパンチで圧倒

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

NJKFフェザー級6位.新人(E.S.G/ 58.75kg)43戦24勝(5KO)18敗1分
VS
NJKFスーパーフェザー級5位.豪(GRATINESS/ 58.75kg)7戦4勝(3KO)3敗
勝者:新人 / 判定1-0 延長戦3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢29-29(10-9). 梅下29-29(10-9). 多賀谷29-28(10-9)

初回、蹴りの前進は豪の圧力がやや優る。第2ラウンドには新人が調子を上げ、蹴りがヒットしだす。豪もせっかくの攻勢を維持しよう、せめぎあいが続き、互角の展開は引分けとなったが、武田幸三氏が掲げた、勝敗を決するChallengerルールにより延長戦が行われ、勢い取り戻した新人が蹴りの圧力で出て、首相撲になっても長身からの覆い被さるスタミナ削りの攻勢で勝利を導いた。

◆第1試合 50.0kg契約3回戦
(当日15時の再計量51.0kg以下条件=グローブハンデ、減点2)

S-1女子世界フライ級覇者.真美(Team ImmortaL/ 52.5→52.45kg→当日51.2kg)
26戦18勝(6KO)8敗
VS
佐藤”魔王”応紀(元・聖域東北ライトフライ級覇者/PCK連闘会/ 49.5kg)
25戦14勝(7KO)9敗2分
勝者:佐藤”魔王”応紀 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:ノッパデーソン27-28. 梅下27-30. 多賀谷27-28(真美に減点2含む)

初回、圧力掛けて出るのは佐藤”魔王”応紀。徐々にパンチから首相撲の圧力掛けてきた真美。パンチの距離では佐藤の勢いで連打のヒットが目立つ。真美はスタミナ的に不利か。結構パンチ連打受けるも首相撲の攻防は真美が優る。当時計量とも直面しながら打ち合える技量が有った。蹴って打って首相撲、ヒザ蹴りの絡み合いは真美が優るも減点の影響もあり、佐藤が僅差判定勝利となった。

他、アマチュアEXPLOSION.2試合は割愛します。

《取材戦記》

90年代のレジェンド・立嶋篤史はデビュー前から“挑戦”を掲げて来たキックボクサーで、当時の所属した習志野ジムの壁にも各選手が年初めに目標、モットーが書かれた大きな紙が掲げられていた。そのチャレンジ精神と、現在の武田幸三氏が掲げる興行テーマと合致した中で、立嶋篤史にもオファーがあった。

フェザー級に拘ったキック人生。昭和から戦い100戦を超えたという今回、前日計量で苦戦した立嶋篤史。彼は若い頃から減量がキツいタイプだが、調整が凄く上手い。フェザー級リミットまで落とす場合は、ほぼ57.15kgで仕上げて来る。少々オーバーする場合があっても想定内で、30分もあればリミットまで問題無く落として来ただろう。

しかし今回は違った。本人はリミット一杯に調整したつもりで計量会場に現れ秤に乗った。しかし350グラムオーバーだった。秤に狂いはなく、他の選手も皆、同じ条件でパスしている。他にオーバーしたのは女子の真美だけ。

ここから過去にない試練が始まった。外に身体を動かしに行って57.2kg。あと50グラムが落ちなかった。周囲も協力的にキングジムの向山鉄也会長も立嶋の身体をジャケットの上からマッサージし、絞り出すように身体を擦った。ガムを買って来て渡す者。噛んで唾を吐く手段も使い、5グラム落ちた。計量失格したこと無いだけに、注目のフェザー級“登録選手”100戦目で計量失格は避けたかった立嶋の意地。7~8回は秤に乗ったか、規定の2時間も超えていたが特例で、最後は何とか57.15kgでようやくパスすると持参したウォーターボトルのコーヒーをゆっくり飲んで喉を潤した。

見守っていた武田幸三氏にも「飲んでください!」とコーヒーをカップに入れ差し出した。「甘んま~!、旨んま~!」と武田氏。なんとも微笑ましい光景だった。
明日に備えリカバリーに向かう立嶋。最後まで見守っていたマスコミ陣、スタッフに御礼を言いながら、計量会見場を去った。

セコンドに着いたソムチャーイ高津氏は、以前から立嶋篤史のジムに練習に行って、一緒に居酒屋に行ったり、共通の知り合いタイボクサーや日本のキックボクサーが居ることでより親近感が湧いたという。そういう仲間との交流が深まり、立嶋篤史から次の試合が決まったらセコンドに着いて欲しいという依頼をされ、それは立嶋篤史がかつて戦った中島貴志も同様だった。

今回、前田浩喜戦が決まり、セコンドの約束が実行された。そこから勝つ為の戦略を練っていったという高津氏。それは夢物語となったが、対する前田浩喜のサウスポーからの奥足へのローキックは、タイミング、スピード、パワー、角度など素晴らしかった。それは非常に勇気ある技で勝った前田浩喜を称えたいと語った。

女子50.0kg契約で、2.5kgオーバーした真美は試合当日15時に1kgオーバーの51.0kgまで落とす条件で試合成立となった。結果、51.2kgではあったが、佐藤”魔王”応紀陣営のPCK連闘会、鈴木芳喜会長は緩やかな対応をしつつ、佐藤の頑張って来たトレーニングの成果を発揮するべき試合を潰したくない想いもあって試合成立に漕ぎ着けた。女子の場合は生理的に体調の変化が大きく水分を落とし難い場合があると言われる。しかし、女子格闘技が普及した近年は男子と同じ条件で試合を迎えるしかない。将来的には試行錯誤の上、改善される部分があるかもしれないだろう。

トーナメント準決勝戦となった4試合の中、やはり存在感あったのは嵐。前日記者会見ではいつもながらの威圧的悪役ぶり発揮も、試合はクリーンに、試合が終われば礼儀正しく山脇飛翼と称え合った。

次回NJKF興行、6月8日のCHALLENGE.R.9では、大田拓真のWBCムエタイ世界フェザー級王座挑戦と、二つのトーナメント決勝戦となるそれぞれの王座決定戦。更に、前回2月2日に吉田凛太郎がNJKFスーパーライト級王座初防衛戦で健太を僅差で下した微妙判定の再戦を、オープンフィンガーグローブで行われることが発表されています。

堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

拝啓 広島県知事 湯崎英彦先輩 大学の後輩、そして県庁での元部下として、御勇退を勧告します

さとうしゅういち

初夏の候、いかがお過ごしでしょうか? 湯崎先輩。私は、先輩のかつての部下でもあり、大学の後輩でもある佐藤周一と申します。

湯崎先輩。いきなり失礼をご承知で申し上げます。2025年11月執行予定の広島県知事選挙への立候補をおやめになるようご忠告申し上げます。

◆最初は感動したけれど……

湯崎先輩。わたしは、最初に先輩が当選された時、もちろん、先輩に一票を入れました。 「演説がうまいとか、プレゼンがうまいとかそういうことではない。子育てをしているお母さん、農業のおじいちゃんおばあちゃん、漁師さん……一人一人の広島県民の声を聞くことが出来る、そういう知事が求められている。」先輩の最終日の演説には感動しましたよ(写真右)。

湯崎先輩。先輩は、私の生まれ故郷である福山市の鞆の浦の埋め立て架橋問題について、極めてうまく捌かれたと思います。今にして思えば、他のこともあの調子で行けばよかったのです。

鞆の浦の通過交通をさばくために、鞆の浦の美しい海を埋め立てる。こんな計画は、当時反対派の福山市民だったわたしには論外に見えました。しかし、賛成派がおっしゃるように、観光客が通る狭い道を通過交通の車がバンバン飛ばすのも危険すぎるのも事実でした。

そこで、先輩は、就任早々、賛成反対両派の対話集会を開催。通過交通をさばく、という一致点を見出して、山側にトンネルを建設する案でまとめました。2025年春、つい先日、鞆未来トンネルとして結実しています。

◆尻すぼみの『こどもを大事にする』社会への価値観転換

しかし、湯崎先輩。他のことでは成果があまり上がっていないようにも見えます。先輩は、2010年には育休を取られ「子どもを育てるということも仕事同様大事にする」という価値観の転換を訴えられました。

ところが、あれから15年を経過。広島県は「子育て・家事は女性がすべき仕事」という考えの県民が全国最多の4割です。それと並行して、広島の人口流出は4年連続ワーストワンです。

人口流出についていろいろと議論はあります。給料が低すぎる。若い女性に人気の仕事が少ない。空港が遠い。いろいろ言われていますが、価値観のアップデートが遅れてしまい、若い人が敬遠するのはもちろん、一定都会で最新の価値観を学んだ人たちもUターンを躊躇されている可能性が高いのではないでしょうか?

◆本当にこどもを大事にしていますか?

もちろん、湯崎先輩ばかりの問題ではございません。しかし、15年以上も知事をされていて、もっとやりようはなかったのでしょうか? そもそも子どもを大事にしようといいながら、子どもを大事にする県政だったでしょうか?子ども医療費への補助は、全国でもワーストレベルで遅れてしまっています。

湯崎先輩。あなたは、子どもたちに人気のマリホ水族館も含むマリーナホップを事実上追い出して、東京の企業によるモビリティーパーク、そして外国人富裕層向け高級ホテルにしようとしています。

マリホ水族館

あなたは本当に、広島に住むこどもたちを大事にしようとしていたのでしょうか?こういう点が疑問に思えるのです。ちなみにマリホ水族館が県民世論の支持を背景にアルパークに復活することになりました。

湯崎先輩。貴方の見通しの誤りをこのことは示しているのではないでしょうか?

◆県民の声もスタッフの声も聴かず「暴走」する病院問題

湯崎先輩。あなたは南区宇品の県病院を潰して、JR広島病院や中電病院と統合した巨大病院をつくり、全国トップレベルの医療!小児救急!中山間地医療!などの美辞麗句を並べ立てておられます。

県立広島病院

だが、それらは本当に実現可能なのでしょうか?既に、病院を運営する法人が資金ショートで、雲行きが怪しくなっています。

さらに、県病院の職員たちは、身分が独立行政法人になることで不安を感じ、退職が相次いでいます。そして、新病院は予算不足で規模縮小となり、患者の憩いの場となる喫茶店もない、先生方の控室には先生一人一人の机もない。患者もスタッフも窮屈な病院になろうとしています。

また、広島の市街地は島で構成されています。南海トラフまで行かずとも芸予地震や直下型の岩国断層帯地震などがおきれば、橋が寸断されるでしょう。こうしたことも視野に入れれば、広島の「各島」に救急対応ができる行政直営の病院があっても贅沢とは言えません。

独立行政法人だと、災害時でもコロナのような危機時にも行政直営のようにはいきません。兵庫県では阪神淡路大震災を教訓に公的病院の再編時には基本的に県立病院に変えてきたそうです。

また、中山間医療というが、エキキタに病院が移転すれば、島しょ部の患者さんにとって不便になります。そもそも、中山間地医療は安佐市民が基本的には担っているのです。

◆当初の志『現場主義』から大きく逸脱

湯崎先輩。先輩は2009年の就任の時、県職員全員に対して以下のようなお言葉を述べられました。「知事ではなく湯崎さんと呼んでください。」「現場が第一。現場のスタッフを局長が支え、局長をわたしが支える。逆ピラミッドの組織に。」 「予算をいくら使ったかではなく、成果をいかにあげたかが大事。これからは予算は使い切るのではなくあまらせたほうがえらい。」

ところが、県病院・新病院の問題ではまったくスタッフの声も聴かず、お金を国の補助金も含めて湯水のように使おうとされていますね。

スタッフの大多数は先輩の案に反対だそうではないですか?ところがスタッフたちは声を上げられる状態ではないそうです。

湯崎先輩。先輩は15年知事をされて最初にご自身が想定したような県庁にできていないのです。これ以上知事を続投される資格はない。

◆公文書偽造・補助金不正受給・公益通報もみ消し……他人事すぎる!

湯崎先輩。西部建設事務所呉支所では、公文書偽造と補助金の不正受給がおきました。それを職員が公益通報したのですが県の人事課はろくに当事者に資料提出も求めないまま「事実は確認できなかった」などと回答し、公益通報を事実上握りつぶしていた。大変な犯罪ではないですか?!

先輩。あなたは「事実なら遺憾」とおっしゃっていましたが、他人事すぎませんか?

湯崎先輩。これとは別に本庁の主査クラスの職員が知事印を適切な上司の決裁も経ずに押印するなど多数の不適切な事務処理をしていた。公文書偽造ですが、先輩は刑事告発をみおくられた。

湯崎先輩。今の広島県はあまりにも腐敗しすぎてこの程度の犯罪を告発していたらエライことになりそうな状態なのかもしれませんね。県庁OBとして恥ずかしいし情けない。

だが、そんな県庁にしたのは15年以上知事をされていた湯崎先輩。あなたです。

◆教育改革どころか崩壊招いた湯崎先輩の肝いり教育長・平川氏

湯崎先輩。あなたが肝いりで連れてきた平川理恵前教育長。結局、高校入試をはじめ、生徒や保護者、先生の負担になるような方向にかき回しただけだった。挙句に、官製談合という名のお友達に県費で仕事をつくってあげる事件を起こしました。

そして、平川前教育長は、給与の一部返納だけで正式な処分は受けず。刑事責任も部下に擦り付けて、2024年3月末限りで東京にまんまと「逃亡」してしまいました。今も、広島で改革を成功させた!と東京でご講演して吹聴して回っておられるとか。こんな教育長を6年間頂いた広島県の教育。学校現場では先生方の不祥事が今年も高止まりで深刻です。それはそうだ。あんなことをした教育長が捕まらないのですから。

これ以外にも、人口が減っているのに、また県立大学をつくって、定員割れ(叡啓大学)など、ちぐはぐさが目立ちます。県民や現場スタッフの声をちゃんと聴いているのですか?

湯崎先輩。先輩は女性副知事の人事でも、結局は大学のご自身の後輩でもある官僚を連れてこられた。いま、広島に必要なのは、もっと、広島で地道に頑張って来られた女性・若手の力を発揮できるようにすることではないのか?島根県では県庁たたき上げ、農業や教育、土木など幅広く経験されてきた高卒の女性職員が副知事になられています。こういうところをもっと広島も見習うべきです。

◆業者とズブズブ、県民に敵対 三原本郷産廃処分場問題

湯崎先輩。あなたにはさらにがっかりしたことがあります。三原本郷産廃処分場問題です。あなたは、水源地のど真ん中に許可したこの処分場の許可取り消しを広島地裁に命じられても、控訴している。そして控訴審では業者と一体となって住民に敵対しています。

2022年秋の稼働後、23年夏からは繰り返し汚染水が流出しています。湯崎先輩。先輩は、そのたびに警告や指導で稼働を止められるが、しばらくすると安全が確認できた、として稼働を再開する。その繰り返しです。

直近でも24年11月にいったん指導を行い停止させたが、その間も、産廃処分場拡張工事は野放し。そして、業者がタンクローリーで真水を撒いて薄めさせた上で県が調査し、「安全です」といって4月25日には稼働を再開させました。

汚染水の原因すらわかっていないのに、再開させるとは何事ですか?!

どうせ、産廃が持ち込まれれば、また、汚染水が出るでしょう。湯崎先輩。いい加減に、きちんと調査をし、また住民の被害の救済要求に応じるべきです。

湯崎先輩。あなたは、広島の食材や料理のアピールを県政の大事な柱としています。それは別に構わないのですが、産廃を野放しにしていて、食材や料理が成り立つのですか?!

◆もはや、勇退しかない

湯崎先輩。最近の先輩はやることなすこと、最初の志と乖離しています。もう、今期でご勇退なさることをご忠告申し上げます。

湯崎先輩。先輩がこれ以上知事を続投されるおつもりなら、わたくしは、後輩として、元部下として、先輩の首を取りに行きます。湯崎先輩の首を取り、県民の手に広島を取り戻す庶民革命。湯崎先輩の県政から、広島県民の命、健康、水、食べ物、教育……を守る庶民革命。その先頭に体を張って立つ覚悟です。

湯崎先輩。先輩は東京系の企業や東京系の知事のお仲間中心の県政で、イエスマンに囲まれ、物事が見えなくなっているのではないでしょうか?

御勇退され、後進に道を譲られることを心からお願い申し上げます。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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日本共産党さん、大丈夫ですか? 党員・支持者による筆者への罵倒相次ぐ 「参院広島・仁義なき候補者選考・楾―宮口事件」にもだんまり?

さとうしゅういち

2025年5月1日、筆者は、自身が幹部を務めさせていただいている労組の系列の県労連系の第96回広島県中央メーデーに参加しました。その時のことです。知り合いの日本共産党員A氏と目があったのでご挨拶しました。

ところが、A氏は「れいわ新選組はむちゃくちゃやないか」と罵倒してこられました。「野党共闘には参加しないし、けしからんやないか」とえらい剣幕です。
筆者は、困った顔をして、こう申し上げました。

「すいませんね。わたしはネットで誹謗中傷されていましてね。情報開示請求したのです。そしたら共産党系の活動家の方(B氏)でしてな。和解して、損害賠償はいただいています。ただ、民事はそれでよくても、政治的にはそうはいきませんよ。共闘という話にはならないのではないですかね。」

A氏はさらに「いや、君も大軍拡には反対だろう。そういう大きい点ではできないのか?」とおっしゃるので、「いや、わたしもそりゃあ反対ですけど。市民運動的には個人として一緒にいろいろさせてはもらっていますよ。だけど、ああいう誹謗中傷をされたのでは選挙協力という話に組織的にはならないでしょう」とお話しすると、とぼとぼとわたしから離れて行かれました。

最近、国政ではれいわ新選組を支持する筆者に対して、リアルでもネットでも罵倒してこられる日本共産党員の方が目立つようになっています。衆院選2024でれいわ新選組の得票が日本共産党を上回ったこと。このままだと、県議選や市議選でもしれいわ新選組の候補が出てくれば、共産党議員と入れ替わりになる確率が高いのでピリピリしておられるのかもしれません。

◆「仁義なき候補者選考」立憲民主党には大甘!

さて、そんな日本共産党さんですが、立憲民主党に対しては相変わらず「大甘」です。2021年4月25日執行の参院選広島再選挙と2025年の参院選を巡り、立憲民主党は「参院選広島・仁義なき候補者選考・楾―宮口事件」を引き起こしています。これに対して、日本共産党さんや日本共産党の支持者も多い市民連合さんが抗議したという話は寡聞にして知りません。

2020年、河井案里さんの逮捕・失脚が濃厚になった段階で立憲民主党は既に候補者に「檻の中のライオン」で有名な弁護士の楾大樹先生を内定していました。楾先生は仕事をキャンセルし、いつ選挙があっても良いようにスタンバイしていました。

ところが、案里さんが当選無効になった21年2月になっても、楾先生に対して党本部から連絡はなかったのです。立憲広島は突如として、楾先生のはしごを外し、森本真治参院議員の秘書の妻だった宮口治子さんを候補者として擁立。自民党候補や、筆者・さとうしゅういちらを破って宮口さんは当選します。この間の経過については楾大樹著「茶番選挙 仁義なき候補者選考」をご参照ください。

◆宮口さんへの対応分かれた筆者と日本共産党

筆者・さとうしゅういちは、告示直前の21年4月上旬前半、宮口さんとの一本化を申し入れるメールを送っています。趣旨は「伊方原発即時廃炉を含む原発ゼロを宮口さんが飲む代わりに筆者が降りる」というものでした。しかし、立憲広島からは「宮口さんは具体的な政策が分かる人じゃないから」というお話をいただきました。これは女性蔑視でもあると判断した筆者は、交渉をあきらめ、選挙に突入したのです。

一方、この選挙で日本共産党さんは、宮口さんを支援しました。当時の日本共産党さんは、立憲民主党というだけで、自民党よりも新自由主義的な方や権威主義的な方も推薦しまくっておられましたので、驚くべき対応ではなかった。一方で、この選挙の際には、少なくない日本共産党員や支持者の方で、党の指示に反して筆者・さとうしゅういちを個人的に応援してくださった方もおられました。このことには感謝申し上げます。

他方で、筆者が立候補したことを根に持って、当時も筆者を罵倒してこられた共産党員の方もおられました。もちろん、筆者への風当たりは当然ですが立憲民主党の方が酷く、「お前は二度と俺の地域に出入りするな」と脅しの電話をかけてこられた立憲民主党員の方もおられました。

◆宮口議員が離党に追い込まれるも冷たい?日本共産党

時は流れて2024年末。2025年参院選では、改選になる議員は2人とも立憲民主党です。すなわち森本真治さんと宮口治子さん。どちらかが降りることになります。立憲広島は、宮口さんを下ろしました。そして宮口さんは、比例での公認もされず、同党に「居場所がない」と2025年1月20日、離党届を出すに至ります。その後は無所属で活動されています。

こうした中で、日本共産党さんや、市民連合さんは、あれだけ熱心に応援した宮口さんが立憲広島により「首を取られた」にもかかわらず、全くもって、立憲広島に対して、抗議もなにもされていないようです。

さて、その後、れいわ新選組を国政ではあくまで庶民派保守・無所属の立場で支持する筆者・さとうしゅういちに対して「れいわ新選組は無茶苦茶じゃないか」などと罵倒してこられる党員の方(A氏)もおられますし、ネットで誹謗中傷してこられる同党系活動家の方(B氏ら)もおられました。

そういう方々が、きちんと自分たちが応援した宮口さんをぞんざいにした立憲広島に抗議したとは聞いていません。自分たちが応援した人の行く末をきちんとフォローしない。これは無責任ではないかと思います。

昔の日本共産党さんは、割と、責任をもってフォローできない人は最初から応援もしなかったように覚えていますがいかがでしょうか。このあたりも随分変わってしまったなあと嘆息しております。

◆野党が楾先生を立てていれば問題なかった

なお、楾先生が立候補予定者だったことは、筆者・さとうしゅういちは、2023年になって初めてご本人から伺いました。楾先生が候補者なら俺は最初から出ていないよ、と地団駄を踏んだのを覚えています。

「宮口さんは具体的な政策がわかる人じゃないから」という立憲広島の幹部の方のお話が非常に印象に残っています。立憲広島としてはそういう認識だったということでしょう。

これでは、「政策がない」新党を立ち上げた石丸伸二さんのことを立憲民主党はあれこれ言えません。

きちんと立憲広島が楾先生を擁立していれば問題なかった。ただ、「共産党さんも宮口さんをあれだけ押したのに、無関心とは薄情じゃのう」と思っております。まだ、ライバルとして闘った私の方が関心を持っているくらいです。

◆野党共闘の失敗を総括せよ

日本共産党の党員や支持者の皆様。きちんと志位和夫さん、田村智子さんら幹部に対して、野党共闘の失敗をきちんと総括するように意見された方がよろしいかとおもいます。「志位さん・田村さんらの機嫌を損ねたら松竹伸幸さんや紙屋高雪さん、あるいは紙屋さんの不当解雇に抗議した元福岡県議候補の砂川あやねさんや栃木県のかぴぱら堂ご夫妻のように除名・除籍される」とおっしゃるかもしれない。しかし、そんな政党なら、それまでのことではないでしょうか?

いま、自民党はボロボロですが、代わりにウケているのは立憲民主党でもなければ日本共産党でもありません。もちろん、国民民主党やれいわ新選組も伸びてはいる。しかし、危機感を持たなければならないのは石丸伸二さんや斎藤元彦・兵庫県知事らがウケていることではないでしょうか?既存野党のだらしなさ、野党共闘の失敗が、彼らを調子に乗らせているのではないでしょうか?

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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4・5反転攻勢の集い(東京・日本プレスセンター)の成功に続き、7・12関西の集いを成功させよう!

鹿砦社代表 松岡利康

すでにご報告していますように、4・5日本プレスセンターでの反転攻勢の集いは多くの皆様のご参集と、参加できなくても全国からご支援賜った皆様のお力により成功裡に終了いたしました!

そしてこれを起点に次の10年、20年に向けた再スタートを切りました。

あらためて『紙の爆弾』定期購読者、会員、4・5発起人、参加者の皆様方に送った「ご報告」を掲載すると共に、7・12反転攻勢の集い・関西の呼びかけも掲載し、特に関西在住の皆様のご参集と、参加されない方々にはカンパやご祝儀などのご支援をお願い申し上げます! 4・5は再スタートへの転換点、そして7・12は、それに弾みをつける集いにいたしましょう! こちらの案内も掲載いたします。

何卒、よろしくお願いいたします。

平野義幸さんの冤罪事件を知ってください! 京都で開催される平野さんの絵画展を見に来てください!

尾﨑美代子

徳島刑務所で服役中の平野義幸さん(60歳)の絵画展「為心願成就之也」が5月16日から京都で開催されます。

2003年1月16日、京都市下京区の平野義幸さんの自宅で火災が発生し、交際女性のAさんが焼死しました。3ケ月後、平野さんが殺人と現住建造物等放火の罪で逮捕、平野さんは、一貫して無実を訴えましたが、2005年3月25日、京都地裁は懲役15年を言い渡し、控訴しましたが、2006年4月28日大阪高裁は審理を行わないまま、平野さんが「反省していない」などの理由で控訴を棄却、無期懲役を言い渡しました。2006年10月2日、最高裁での上告も棄却され、刑が確定。現在、徳島刑務所で服役中です。この事件について私たちは冤罪と考え、支援する会(代表・青木恵子)を作り、活動を続けています。  

平野義幸さん

◆「動機」も「証拠」もない!「恩人」を殺せる訳がない!

平野さんは、三池崇史監督の「荒ぶる魂たち」「新・仁義の墓場」などに出演する俳優でした。事件前、兄貴分だった男性俳優と親友の俳優(菅原文太さんのご長男、踏切事故で死亡)、そして妻の3人を相次いで亡くし、自暴自棄になっていました。そんな頃知り合ったAさんは、平野さんを「あなたは絶対俳優やらないとあかん」と励まし続け、平野さんも再び俳優業をやろうとしておりました。

火災があった日、平野さんは、東京で開催される深作欣二監督の告別式に出席予定で、映画関係者に自身をプロモートするための資料作りを1階で行っていました。そんなとき、前日からAさんが泊まっていた2階で火災がおきました。平野さんは必死でAさんを救出しようとし、燃え盛る家に入り火傷を負いました。近所の人たちが「このままでは義くん(平野さん)が危ない」と数人がかりで止めたことも裁判で証言されました。しかし、それらの平野さんを無罪とする証言・証拠は検察官にことごとく隠され、平野さんに有罪判決が下されました。

そもそも平野さんには多くの思い出が残った自宅を燃やしたり、新たな映画のオファーを投げうってまでAさんを殺害するような「動機」も「証拠」もありません。何よりAさんは平野さんの「恩人」です。

一方、Aさんは平野さんと交際しつつ、常日頃から「目の前から消えます」「私は死にました」「タブーを犯してしまったんです」と自殺を仄めかす言葉をノートに多数書き綴っていました。また、遺体を解剖した安原正博教授は「このような熱傷死の場合は、焼身自殺の場合を除外すると極めて少ない」と、Aさん自殺説を裏付けるような証言しています。 

火災後、平野さんも覚せい剤使用で逮捕されましたが、担当の検事は「放火で逮捕はない」と何度も断言していましたが、3ケ月後交代した検事が、いきなり平野さんを放火殺人犯に仕立てました。ほかの冤罪同様、裁判ではさまざまな証拠や証言のねつ造などが行われています。詳細は、2022年に行ったクラウドファンディングのHPでご確認ください。


平野さんは現在、徳島刑務所で服役しながら、絵を描き、支援する会の代表・青木恵子さん(東住吉冤罪事件)や私たち支援者らに送ってくれていました。今回、この絵を一堂に集め、皆さんにごらん頂きたいと考えています。お一人でも多くの皆さまに、平野さんのこと、冤罪事件のことを知って頂きたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

◎平野義幸絵画展「為心願成就之也」
2025年5月16日(金)~18日(日)
京都府部落解放センター4階ホール(京都市営地下鉄「鞍馬口駅」徒歩5分)
平野義幸さんを支援する会(代表・青木恵子)

なお、会場ではミニトークショーが行われます。
16日は、午後6時半~30分(青木恵子)
17日は、午後2時半~30分(青木恵子)
18日は、午後2時半~(青木恵子、堀弁護士)

※毎日時間帯が違っています。チラシでご確認ください。
https://www.bll-kyoto.jp/topics/2025/3466/

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

原爆被爆と原発被曝に詳しい村田三郎医師に「被ばく」の話を聞いてきた

尾﨑美代子

5月2日、阪南中央病院の村田三郎医師に取材に行ってきました。ずっと前からお話を聞きたいと思っていた方。4月20日、「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西」が主催する「チェルノブイリ原発事故39年の集い 被爆80年 核も戦争もいらない」に村田先生が講演を行うというので参加し、ご挨拶させてもらっていた。そのあとすぐに連絡し、お時間をとってもらうことになった。

村田三郎さん 高知県出身、大阪大学医学部卒業後、1978年から阪南中央病院(大阪府松原市)に内科医として勤務。広島・長崎の原爆被爆者、水俣病患者の検診・診療、原発で働く被ばく労働者の実態調査や労災認定などを行う。著書「福島原発と被曝労働」(共著)ほか

近鉄南大阪線布忍駅下車、徒歩8分にある阪南中央病院。そこで3時から4時半までびっしりお話をお聞きした。村田先生は、水俣病患者さん、広島・長崎の被ばく者の診療・治療にあたったほか、原発の被ばく労働者の治療や労災認定のお手伝いを行ってきた。今日はとりわけこの被ばく労働問題についてお聞きしてきた。お話の内容はまたどこかで報告させてもらいます。

村田先生、とにかく優しい方。病院へのアクセスもめっちゃ詳しく説明してくださったうえ、お会いするなり、「わかりましたか」と聞いてくださる。優しさのその原点は、生まれ育った高知県で、教師だった父親から言われ続けた「弱い人の立場で行動しろ。そうしていたら間違いはない」という言葉を信じてやってきたからだという。その言葉を信じ、子どもの頃、漠然と医師か弁護士になろうと考えていたという。両親は村田先生に「医師になれ」とはいわないものの、クリスマスプレゼントに野口英世など医師の伝記の本をくれたことも影響しているかなと話されていた。

◆釜ヶ崎では「原発の仕事に行った」と話す労働者に会ったことがない

一番最後の質問で、私が釜ヶ崎で25年店をやっていて、建設業界のほとんどの職種の労働者を知っているが、原発の仕事に行ったという労働者はほとんどいない。土工さんで掘削作業をした人でも「ママ、阿倍野ハルカス作ったの、俺やで」と自慢したがるのに、「敦賀原発行ってきたわ」などという人の話はほとんど聞かない。それは何故なのだろうか?という話を村田先生とあれこれお話させてもらった。

村田先生のお話とは別なのだが、初めて行った阪南中央病院、病院の前の道路を挟んだ向かい側に全国チェーンを展開する「スギ薬局」があり、病院の隣に「うめ薬局」があった。私はうめ薬局のほうが、スギ薬局に対抗して出来たものと思った。「おいおい、スギに対抗してうめかよ」と。それを村田先生にお聞きしたところ、うめ薬局が先なのだという。その後、病院前に広大な空き地ができ、何が出来るかと思ったら、スギ薬局が進出したのだという。まあ、どうでもいい話だが、ちょっと驚いた。うめにスギかよ。

阪南中央病院
阪南中央病院の向かい側にあるうめ薬局とスギ薬局

◆国と電力会社は原発推進のために仲間だって「殺す」

あと、村田先生の動画が何かをみてて、先生が「もんじゅのナトリウム漏れ事故では自殺者も出ていますよね」と話しておられたので、生意気だと思ったが、ひとこといわせてもらった。「先生、もんじゅのナトリウム漏れ事故で自殺者が出たと話してましたが、あれ、自殺ではないですよ。殺されてますよ」と。

村田先生は驚いたように「何か、資料や記事ありますか?」と聞かれたので、「私はずっと気になっていたので、直接亡くなった動燃の職員・西村成生さんの遺族、奥様の西村トシ子さんに何度もお会いしました。トシ子さんと息子さんは、今も裁判続けてますよ。私も裁判を傍聴したことがありますし、トシ子さんの家に伺って裁判資料全部見せてもらいましたよ」と話し、その内容をまとめたものを送らせてもらうと約束した。

原発は被ばく労働で大量の労働者を「殺して」いるが、そのうえ国と電力会社の原発政策に邪魔になる人、あるいは推進するためには、仲間だって「殺す」ということ、それを伝えたかった。

村田医師、本当に素晴らしい方だった。

もんじゅ、西村職員の事件について書いた記事(1~6)はコチラから読めます。どうぞ、ご一読を。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

『紙の爆弾』6月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

さて、6月号では前号に続きウクライナ戦争の裏側を解説。前号では戦争を勃発させ、終わらせない勢力について分析。今月号では“利権”に焦点を当てました。米国トランプ大統領が主導する停戦交渉ではウクライナ国内の地下資源がカギとして取り沙汰されていますが、それらに開戦前から手を付けていたのが米国巨大投資ファンド。そこでゼレンスキー大統領が果たした“役割”など、この戦争の実態と停戦の行方を考えるうえで不可欠な情報をお伝えします。

また、自公政権でもこれみよがしに減税論が取り沙汰されている消費税をめぐっては、マスコミで報じられないもう一つの側面である「輸出還付金」について解説。前号では政治経済学者の植草一秀氏が、高額療養費制度改悪について、「十分な医療」を富裕層だけが受けられるものとする制度改変だと指摘しましたが、消費税もまた、その逆進性だけでなく、輸出大企業優遇のシステムを内包しています。そうである以上、いまの減税論と関連報道も、“本質隠し”の側面があることに留意する必要があります。

そして、世界を揺るがせているトランプ関税。「格下も格下」の日米関係を正常化するために、「地位協定は変えられる」そして「日米安保は破棄できる」という事実を確認しました。それらはいずれも単なる理念ではなく、むしろ日本の安全保障と世界の平和・安定に寄与するものです。とくに元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、日米地位協定改定のための具体的な方法を提示。さらに、国際的に異常な日米安保を正当化するデタラメな中国脅威論がなぜこれほどまでに日本中を覆っているのか。その“犯人”と“目的”を明快に指摘しています。

必然的に、誌面で米国トランプ大統領に関する話題が多くなっています。両面での分析が必要ですが、いずれにおいても結論は、日本の自立が必要だということ。4月号・5月号をはじめ、本誌はこれまで戦争を勃発させる勢力・工作について指摘してきました。また新たな戦争が起きるとしても同じこと。それに与しないために、日本の再独立が求められています。

フジテレビ問題が、少しずつ動きを見せはじめています。もっとも注目すべきはフジHDの外国人株主、米国ファンドの動きです。原因はフジにあるにせよ、スポンサー離れのきっかけはダルトン社の書簡だったと報じられています。そして、取締役候補にジャニーズ瓦解後を引き継いだスタート社社長。ジャニーズ問題にしてもフジ問題にしても、「外圧」が日本を健全化するかの楽観的な報道が目立ちますが、“黒船”が日本に何をもたらしたのかをおさらいする必要があります。

大阪・関西万博が開幕し、形だけは批判することもあったマスコミは予定通り大本営化しました。すると俄然、勢いづいているのが万博推進派。開催意義、中抜き、危険性など、指摘されていた問題が何ひとつ解決されていないにもかかわらず、なぜか勝ち誇ったような振る舞いを続けています。事態の本質は「公金収奪のカジノ万博」です。

ほか、麻生太郎・自民党最高顧問の「参院選事前運動疑惑」、「無所属の会」を立ち上げた内海聡医師が語る「日本の医療と政治の関係」、警察による違法な「架空名義口座」開設など、今月号も必読のレポートの数々をお届けします。前号で創刊20周年を迎えた『紙の爆弾』は、全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年6月号

『紙の爆弾』2025年 6月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年5月7日発売

アメリカ巨大投資ファンドが蠢くトランプ「相互関税」とウクライナ戦争 浜田和幸
“中国脅威論”をばらまく犯人は誰か「日米地位協定」は変えられる 孫崎享
「石破おろし」「玉木首相擁立」計画 麻生太郎 参院選事前運動疑惑 横田一
マスコミが報じない大企業への“8兆円補助金”消費税「輸出還付金」を廃止せよ! 青山みつお
内海聡医師インタビュー 権力の奴隷にならないために「政治と医療」を考える
際限なき権限拡大 警察が「架空名義口座」開設 足立昌勝
山形県上山市清掃工場 重金属汚染による健康被害 青木泰
人気女優を襲ったいくつもの“悩み”広末涼子「事件」の背景 本誌芸能取材班
会社分割で「外資の草刈り場」と化すのか フジテレビ解体 片岡亮
在日米軍を撤退させ日本が軍縮を主導すべし 木村三浩
不戦国家・日本がなぜ「停戦」に無関心なのか 青柳貞一郎
劣化した現代政治をAIは見下し嘲笑する 愚劣なトランプ外交と古い地政学の克服 藤原肇
「ラジオ英会話」という名の奴隷生産教程 佐藤雅彦
ミャンマーで日本が展開中「現代版インパール作戦」 平宮康広
教職員への処分取消第五次訴訟「“君が代”強制」めぐる教育現場の現在 永野厚男
シリーズ 日本の冤罪 三崎事件 片岡健
5月号記事「伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ」に反論します 佃克彦
[ご報告]『紙の爆弾』創刊20年『季節』10年 4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

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NKB系初のメインイベンター山本太一は牙城守れず!

堀田春樹

皆川裕哉を迎え討った山本太一、打たれ脆さの弱点突かれ撃沈。
王座獲得後初戦の乱牙も僅差ながら白星飾れず。
期待の杉山海瑠はランカーの壁、あと一歩の差破れず。

◎爆発シリーズvol.2 / 4月26日(土)後楽園ホール17:15~20:35
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第11試合 59.0kg契約 5回戦

ジャパンキック協会フェザー級 1位.皆川裕哉(KICK BOX/1997.4.11東京都出身/ 58.8kg)28戦15勝(3KO)11敗2分
        VS
NKBライト級3位.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 58.8kg)
21戦7勝(4KO)10敗4分
勝者:皆川裕哉 / KO 2ラウンド1分15秒 / 3ノックダウン
主審:前田仁

距離を取って蹴り中心の様子見。皆川裕哉が蹴りで仕掛けて、山本太一の左ストレートも軽くヒット。接近戦に入り、皆川が連打でノックダウンを奪うも、山本はダメージは軽く、立ち上がってラウンド終了。

第2ラウンド、皆川の勢いは増し、山本をコーナーに詰め、連打で崩れるところにヒザ蹴りを入れてノックダウンを奪う。更にパンチ蹴りのコンビネーションから右ストレートでノックダウンを奪い、山本の左ミドルキックに左ストレートからローキックを繋ぎ、3ノックダウン目となって皆川のノックアウト勝利となった。

山本太一の左ストレートもチャンスがあったが、皆川裕哉も攻め方は上手かった
皆川裕哉が連打で優って山本太一を追い詰めていく

初メインイベンターを終えて山本太一は「申し訳無いです。ショックしかないです。」と無念そう。

初回2分半までは緊迫感ある攻防で面白い試合になる流れだったが、接近戦でのパンチの交錯から皆川裕哉のコンビネーションブローと山本太一のガードの甘さが流れを変えてしまった。過去の試合もノックダウンが多かった山本太一。
「これから身体と相談して、出来れば上行きたいな!」とダメージの蓄積が無ければ更なる向上心も衰えていない様子。

皆川裕哉は「山本選手の映像観たんですけど、トリッキーでサウスポーぽくはないなと思って、事故(打ち合って玉砕)起こしやすい選手だなと。でもKO率高くないし、そういう(攻撃力ある)ところは警戒しながら、後手にはなるけど自分も体勢崩さないようにやる作戦だったんですけど、勝ててまずはホッとしてますね。」
と、皆川裕哉にとってもジャパンキックボクシング協会での王座陥落からの復帰戦を飾り、「王座奪還目指していますよ!」とまだまだ上を目指している様子。

◆第10試合 63.0kg契約3回戦

NKBライト級チャンピオン.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身/ 62.65kg)12戦8勝(3KO)3敗1分
        VS
廣野孝文(KING LEO/1993.1.9富山県出身/ 62.75kg)6戦3勝2敗1分
勝者:廣野孝文 / 判定1-2
主審:笹谷淳
副審:高谷30-29. 鈴木28-29 前田28-30.

いつもより右の高い蹴りが連発した乱牙だったが、ここからパンチの交錯しても乱牙の強打は見られず、廣野孝文が強気の応戦で打ち負けない展開。やや前進は乱牙だが、ややヒット優るのは廣野孝文。ジャッジ三者が揃うラウンドは無いほぼ互角の展開も、廣野孝文が2-1判定勝利。乱牙は王座獲得後初戦で敗れる波乱の結果となった。

乱牙がミドルキックやハイキックは効果的だったが、圧倒には至らず
パンチの距離では廣野孝文がやや攻勢を維持した

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ/1996.4.14兵庫県出身/ 53.3kg)
18戦7勝(1KO)8敗3分
        VS
杉山海瑠(HEAT/2009.6.5静岡県出身/ 53.15kg)
4戦3勝(1KO)1分
引分け 0-1
主審:鈴木義和
副審:前田29-29. 高谷29-30. 笹谷29-29

杉山海瑠は小刻みに出入り、パンチとローキックで様子見。兵庫志門はローキックで様子見もなかなか打ち込めない距離感。

第3ラウンドにはアグレッシブに打って蹴り合うが、互いに効果的ヒットは無く、最後に杉山がバックハンドブローを見せたがヒットせず、この試合もジャッジ三者とも揃ったラウンドは無く終了。

終了間近に見せた杉山海瑠のバックハンドブローはヒットせずもインパクトはあった

◆第8試合 60.0㎏契約3回戦

JKIスーパーフェザー級5位.夢叶(エムトーン/2004.4.7神奈川県出身/ 59.75kg)
9戦5勝(2KO)3敗1分
        VS
KEIGO(TOKYO KICK WORKS/1984.4.10千葉県出身/ 59.75kg)24戦7勝11敗6分
勝者:夢叶 / 判定2-0
主審:高谷秀幸
副審:前田30-28. 笹谷30-28 鈴木29-29.

ローキック中心の交錯はやや夢叶の前進。第2ラウンドに首相撲が増えるも差が出ない中、第3ラウンドには夢叶が首相撲からの崩しと、やや投げ気味も体勢が相手に圧し掛かる攻勢と右ストレートの勢いあった僅差ながら判定勝利。

互いに飛んだ夢叶vsKEIGOのヒザ蹴りの攻防

◆第7試合 スーパーウェルター級3回戦

清水武(sbmTVT KICK LAB/1987.8.8東京都出身/ 69.75kg)34戦19勝(8KO)14敗1分
        VS
郷野聡寛(元・全日本キック連盟ヘビー級Champ/リングスジャパン/1974.10.7東京都出身/ 69.45kg)18戦9勝9敗
勝者:清水武 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:鈴木30-29. 前田30-29. 高谷30-28

パンチ連打で攻める清水武と下がり気味の郷野聡寛。ローキックの蹴り合いからパンチで出る清水。郷野は清水にパンチカウンターする戦略も、清水が追う圧力が優っていった。

下がる一方の郷野聡寛に攻める前進力あった清水武

◆第6試合 59.0kg契約3回戦

JKIフェザー級4位.都築憲一郎(エムトーン/1988.7.4神奈川県出身/ 58.85kg)24戦7勝12敗5分
        VS
堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/ 58.6kg)7戦4勝2敗1分
勝者:堀井幸輝 / 判定1-2
主審:高谷秀幸
副審:鈴木30-29. 前田28-30. 笹谷28-30

◆第5試合 フェザー級3回戦

安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/ 56.8kg)12戦9勝(4KO)3敗
      VS
ジャッカル鈴木(BIG MOOSE/1989.2.15千葉県出身/ 56.75kg)17戦5勝10敗2分
勝者:安河内秀哉 / TKO 2ラウンド1分27秒
主審:鈴木義和

両者の蹴りからパンチの攻防から、安河内秀哉は右ストレートヒットさせてリズムを掴み、飛びヒザ蹴りから接近してヒザ蹴り、組み合ってもウェイト預けヒザ蹴り、更にパンチの攻撃力強め連打でノックダウンを奪った。

第2ラウンドも安河内がパンチで追い詰めノックダウンを奪うと更に左右のハイキック、左ストレートで2度目のノックダウン奪い、そのままノーカウントのレフェリーストップとなった。

安河内秀哉が上手く攻めた連打でジャッカル鈴木をレフェリーストップに追い込んだ

◆第4試合 ライト級3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 61.05kg)4戦2勝(2KO)2敗
        VS
坂根卓弥(クロスポイント吉祥寺/1993.7.11京都府出身/ 61.0kg)7戦4勝(1KO)2敗1分
勝者:坂根卓弥 / 判定0-2 (29-30. 29-30. 29-29)

◆第3試合 ライト級3回戦

森野允鶴(渡邉/2001.1.17東京都出身/ 61.1kg)4戦3勝(1KO)1敗
      VS
魔娑屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/ 61.2kg)7戦3勝(3KO)4敗
勝者:魔娑屋 / TKO 3ラウンド1分5秒

初回から魔娑屋の蹴りとパンチが優ると森野允鶴は下がり気味。第2ラウンドも魔娑屋が的確にパンチヒットを見せ、ローキックから右ストレートでノックダウンを奪った。

第3ラウンドには逆転狙って打ち合いに出る森野に右ストレートヒットする魔娑屋。右ボディーブローから連打、ヒザ蹴り連打で圧倒すると笹谷淳レフェリーがストップをかけ終了。

魔裟屋がパンチからヒザ蹴りの猛攻で森野允鶴を圧倒してTKOに追い込んだ

◆第2試合 62.5kg契約3回戦

リョウヤ・ハリケーン(テツ/2002.10.20兵庫県出身/ 62.1kg)3戦1勝(1KO)2分
       VS
柳澤翔太(クロスポイント吉祥寺/1998.1.19新潟県出身/ 62.2kg)3戦2敗1分
        VS
引分け 1-0 (29-29.  29-28 29-29)

◆プロ第1試合 58.5kg契約3回戦

岡部惇(アント/1993.10.20岡山県出身/ 58.4kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
真岸憲一(ワンサイド/1987.9.22長野県出身/ 58.5kg)2戦2敗
勝者:岡部惇 / TKO 1ラウンド1分34秒
主審:前田仁

蹴りからパンチの攻防は岡部惇の左ストレートヒットし、早々にノックダウンを奪った。真岸は逆転狙った打ち合いに出るも岡部の右ストレートで2度目のノックダウンでカウント中のレフェリーストップとなった。

第1試合の圧倒劇、岡部惇が真岸憲一を左右のストレートで倒した

◆アマチュア オナゴキック3. 49.0kg契約2回戦(90秒制)

ANAN(PIRIKA TP/ 49.25kg)vsWAKANA(チームKOガレージ/ 48.95kg)
勝者:ANAN / 判定3-0 (20-18. 20-19. 20-19)

◆アマチュア オヤジキック2. 60.0kg契約2回戦(90秒制)

田中聡(bring it onパラエストラAKK/ 59.55kg)
        VS
菅野 一教(PHOENIXファンキーガッツメン/ 59.15kg)
勝者:田中聡 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-19)

◆アマチュア オヤジキック1. 62.0kg契約2回戦(90秒制)

ユウタ(スターライト/ 61.3kg)vs石黒海(無所属/ 61.05kg)
勝者:ユウタ / 三者三様(20-20. 20-18. 18-20)
延長戦2-1 (10-9. 10-9. 9-10)

《取材戦記》

日本キックボクシング連盟は存在感あるメインイベンターが少ないが、爆発シリーズに相応しい、観衆が最終試合まで帰らない話題性多い選手が欲しいところである。

世間の注目度は低くても、今回の皆川裕哉vs山本太一は何気に好カードだった。山本太一のメインイベンター起用は好ファイトに期待が高まった。ノックダウンの応酬や逆転勝利はスリルあって盛り上がるが、そんな危なっかしい試合はあまり望む訳にもいかない。そして打たれ脆さが露呈してしまった。

山本太一は今回59.0kg契約で、以前言っていたが、フェザー級まで落とせる自信もあるようで、適正階級を見極めながら調整していくことだろう。強くなって次回に期待である。

皆川裕哉にとっても昨年11月17日の王座陥落からの再起戦。語り口がなかなか活発で、どん底に落ちた気持ちは全く無い様子。次はホームリングに戻って7月に未確定ながら試合を予定しているという。フェザー級同士では、NKBチャンピオン、勇志との絡みもいずれ観たいものである。

日本キックボクシング連盟次回興行は6月21日(土)に後楽園ホールで爆発シリーズvol.3が開催予定です。

堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」