高校の勉強のやり直し、微分積分は必要か

知り合いの30代の女性が、通信制の高校に入った。30代にして、女子高生になったわけだ。
高校を中退しているので、勉強し直して卒業資格を取ろう、という感心な心がけ。もちろん、セーラー服などは着用しない。
筆者なども、高校で勉強したことなど忘れている、というか、そもそも勉強せずにごまかして卒業している項目が多い。

彼女の話を聞いていて、やはり高校の勉強は大変だな、と思う。
そもそも、自分で働いて生活している30代が、いまさら微分積分など勉強する必要があるのだろうか。
高校生は、自分の進むべき道を見つけるために、ありとあらゆる可能性を試してみる必要があるかもしれないが……。

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忘れてはいけない、原発の危険性を指摘するデータを「捏造」と言っていた御用学者

オボちゃんを虐めたからこうなったんだとばかりに、小保方晴子博士のSTAP細胞の件以降、これまでの学者の論文にも厳しいチェックが入るようになり、ノーベル医学生理学賞を受賞した、山中伸弥教授の論文にまでデータ捏造疑惑が浮上している。

それらのことは徹底的に検証すべきであろう。
だが、データ捏造どころではないことをやっていた科学者のことも、忘れてはならない。
原発の危険性を指摘する正しい解析を「捏造」と言ってのけ、「プルトニウムは飲んでも大丈夫」と断言していたのが、東大大学院工学研究科の、大橋弘忠教授だ。

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恵庭OL殺人事件を冤罪だと見抜けない人に「一度試して欲しいこと」

もしも被告人が取調べで自白に追い込まれていたら、一体どれほどデタラメな自白調書が出来上がっていただろうか――。被告人が一貫して無実を訴えている冤罪事件を取材していると、そんなふうに考えさせられることがある。

たとえば、先月(4月)21日に札幌地裁が再審請求を棄却した恵庭OL殺人事件も、そんなふうに考えさせられた冤罪事件の1つだ。

事件の発生は2000年3月。千歳市内の運送会社で働いていた24歳のOLが恵庭市郊外の農道脇で真っ黒焦げの焼死体で見つかり、職場の同僚だった大越美和子さんという女性(当時29)が殺人罪などで逮捕、起訴された。大越さんは一貫して無実を訴えたが、2006年9月、最高裁に上告を棄却されて懲役16年の判決が確定。犯行動機は、大越さんが交際していた職場の同僚男性をめぐる恋愛関係のもつれだったとされている。

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流布し続ける飯塚事件に関する「デマ」と「その元凶」

「飯塚事件はDNA鑑定だけで有罪、無罪が決まったわけではないので、DNA鑑定がどうなろうと有罪認定は揺るがない」。そんなデマがいまだに流布しているようである。

1992年に福岡県飯塚市の小1女児2人が殺害された通称「飯塚事件」。一貫して無実を訴えながら死刑判決を受け、2008年に処刑された久間三千年氏(享年70)については、冤罪の疑いが根強く指摘されてきた。あの足利事件同様、警察庁科警研による捜査導入初期の稚拙なDNA鑑定が有罪の決め手になっているためだ。去る3月31日、福岡地裁はこの事件の再審を認めない決定を出したが、弁護側は福岡高裁に即時抗告しており、死刑執行後としては初の再審無罪をまだまったく諦めていない状況だ。

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セウォル号の事故……、韓国に比べて、日本はそんなに立派だといえるのか

今日も、セウォル号の話題でワイドショーは沸騰している。
それは当然だろう。船長を筆頭に真っ先に逃げ出した乗組員の無責任のせいで、死者・行方不明者合わせて300人を越えるという大惨事。責任転嫁にいそしんで、なかなか謝罪しなかった、朴槿恵大統領……。

だが、2009年に三重県沖で横転したフェリーありあけ号の事故では、乗客7人と乗員21人は全員無事だった、という報道が併せて流れるようになると、この沸騰ぶりの底が見えるようになった。

今回の事故で「三流国家」だと自嘲するようになった韓国に比して、久々に、日本ではこんなことは起きない、日本は立派だと胸を張れる時がやってきたのだ。
チェルノブイリ原発が事故を起こしたときに、あれはロシアのオンボロ原発、日本の原発ではあんなことは起きないと見下していた自尊心が、福島第一原発の事故で吹き飛んだ。
その自尊心が、取り戻せるというわけだ。

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人はなんのために、本を読み絵を眺めるのか

たまに、「いつも、どんな本読んでるの?」と聞かれることがある。
いつも読んでいる本というのはない。
このところ読んだ本の著者を並べてみると、清水潔、山本周五郎、ヘッセ、大城立裕、モーパッサン、姫野カオルコ、門田隆将、ドストエフスキー、池上泳一、古賀茂明、エリカ・ジョングとなっていて、やはり「こういう本をいつも読んでます」と言えるような統一性はない。ライターの読書は、だいたいこんなものだろう。

ちなみに、前からちょくちょく読んでいた姫野カオルコは、デビュー作がおもしろいと聞いたので、『ひと呼んでミツコ』を出張先のホテルで読んだのだが、笑って頭を壁に強打してしまった。要注意である。
2人の女性を股にかけるお調子者の男を、お得意の深刻な語り口で描く、ドストエフスキー『虐げられた人びと』もけっこう笑えるので、タイトルの暗さで敬遠しないほうがいい。

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宮沢りえの17歳のヌード写真集を持っていたら、逮捕される時が来るのか

とうとう、児童ポルノの単純所持が禁止されるかもしれない。
現行の児童買春・児童ポルノ処罰法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)では、児童ポルノを提供、製造、頒布、公然な陳列、輸入、輸出することが禁止されている。
それが単純所持、ただ持っているだけで罰せられるようになるという。

ゴールデンウィーク明けにも、改定案の審議に向けて衆議院理事懇談会にて討議が行われる予定とのこと。委員会で審議が始まるのは6月になる見通しだ。マンガ・アニメなど創作物の性犯罪への影響についての調査研究に関する項目が外れるのは、ほぼ確実で、残る問題は「単純所持の禁止」だ。強行採決を避けたい与党は、単純所持禁止の落としどころを巡って、野党との調整を進めているという。

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「遅刻したらすぐ謝るべきだ」の、心理学的説明が、そんなにも欲しいのものなのか

ライターであるからには、ベストセラーを出してみたいと思っている。
それは読者に心から受け入れられるようなもので、ちょっと読めば役に立つと思わせる自己啓発本やビジネスノウハウ本ではなく、と言いたいところだが、後者でもいいと思っている。稼いだ金を、本当に書きたい本のために使えばいいのだから。

昨年、後者に当たる本の執筆の依頼が来た。
監修者として名前が出るのは、テレビにも出ている心理学者。その人の既刊にあることを自分のアイディアで膨らませて書くという仕事だった。

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子供にスマートフォンを持たせることは、問題なのか

時代も変われば生活も変わる。大人の生活が変われば子供の生活も変わる。
小中学校で、子供の持つスマートフォンが度々問題になっているようで、各自治体や教育現場では使用の制限を呼び掛けている。不要であれば子供に持たせない、夜間は使用させないなど各家庭にも協力を求めているという。

過去に携帯電話やポケベルが普及した時も同じような話を聞いた。制限したり使わせない方向でいつも動くことに疑問を持つ。今の時代、必須とは言わないが、大人になればほとんどの人が使用するものだ。特に若い世代ほど、スマートフォンを持たない人のほうが珍しい。いずれ使うものなら、学校が教育の場である以上、使い方を勉強させたほうがずっといい。

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「ヘイト・スピーチ」は今に始まったことか

「在特会」の活動や、排外主義と民族差別を煽る雑誌や書籍の流行などの「ヘイト・スピーチ」について、『紙の爆弾』でも特集が組まれたが、この背景には、極右の安倍政権下にある政治情勢と、不景気による大衆の不満、およびこれに迎合して商売する出版業界であると、既に指摘されている。

しかし、これは今に始まったことなのだろうか。
これについて、1960年代に大学生だった人から言われたのだが、その当時から、今の「ヘイト・スピーチ」は行われていたのだそうだ。

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