堀田春樹
瀬川琉は得意の左ストレートで主導権支配した判定勝利。
オーシャン・ウジハラ(氏原文男)は角谷祐介のスピードに付いて行けず判定負け。
野竹兄弟、兄の勇生は苦戦も好ファイト展開の引分け。
弟、生太郎はノックダウン奪った上、圧倒の展開も倒し切れない大差判定勝利。
◎SAMURAI WARRIORS 挑戦 2nd / 6月20日(金)後楽園ホール 17:15~21:26
主催:全日本キックボクシング協会 /
戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加え、出身地年齢は調査不足で不詳です。
◆第12試合 60.5kg契約3回戦
全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 60.35kg)22戦15勝(4KO)6敗1分 VS
アイドゥル(=金炳秀キムビョンス/2025年韓国HERO FIGHT優勝/ 60.35kg)
13戦6勝7敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:竜矢30-28. 勝本30-28. 椎名29-28
初回はやや金炳秀が蹴りから圧力掛けた流れも、第2ラウンドには瀬川琉が左ストレートヒットで主導権を奪って、金炳秀は瀬川の左ストレートが怖くなったか前進が弱まった。金炳秀は元々ウェルター級で体格差もあって、62kgかライト級リミットの交渉から60.5kg契約に落ち着いたが、蹴りの距離感掴んだ瀬川のリズムは変わらず、金炳秀の蹴りも好ファイトに繋がり、瀬川が中盤から圧勝の流れとなった判定勝利。

瀬川は「課題はメンタル的な部分で越えられなかった試合だったなと思います。第2ラウンドからちょっとずつ動けるようになってきた感じですね。でもトップに行こうと思ったら、まだ他団体のトップ選手と戦えないと思うので本当ちょっとショックです!」と周りから見るより本人の反省は多いが、好ファイトを展開したエース格としての成長は大きいだろう。
金炳秀は「瀬川選手の左ミドルキックが効きました。左の蹴りが強い!」と言い、ブロックした腕が痛そうだった。

◆第11試合 ライト級3回戦
オーシャン・ウジハラ(氏原文男/無所属/ 60.9kg)28戦13勝(8KO)15敗
VS
角谷祐介(ネクストレベル渋谷/ 60.9kg)26戦13勝10敗3分
勝者:角谷祐介 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:竜矢28-30. 勝本27-30. 和田27-30
※「オーシャン・ウジハラは心センチャイジムとして2009年のWBCムエタイ日本フェザー級初代チャンピオン。角谷祐介はスックワンキントーン・スーパーフェザー級初代チャンピオン。」
角谷祐介のスピーディーなミドルキックやパンチ、ヒジ打ちに怯まず前に出るオーシャン・ウジハラだが、組んでも離れても角谷の勢いに圧され、角谷が大差判定勝利となった。
オーシャン・ウジハラは「前回と比べたら全然駄目でした。ダメージは無いけど疲れました!」と残念そうながらも明るく語るサッパリした表情でした。

◆第10試合 スーパーライト級3回戦
全日本スーパーライト級6位.勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/19歳/ 63.35kg)
6戦4勝(3KO)2分
VS
李導炫(イ・ドヒョン/韓国/ 63.0kg)5戦3勝1敗1分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:少白竜28-28. 竜矢28-29. 和田29-28
蹴りから圧力掛ける勇生だが、李導炫もパンチで勇生をコーナーに追い詰める圧力あり。勇生がハイキックやパンチで追い込んでも李導炫が怯まず反撃して来るアグレッシブな展開。流れ的には、勇生が後半やや攻勢で優ったかにも見えるが三者三様の引分け。一進一退の攻防は勇生にとっても良い経験になったと見られる。


◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦
中村健甚(稲城/ 58.6kg)5戦1勝2敗2分
VS
アハメド・ボーグリアーネ(フランス/ 58.6kg)1戦1勝(1KO)
勝者:アハメド・ボーグリアーネ / KO 2ラウンド 1分11秒
主審:勝本剛司
“アハメド・ボーグリアーネ”は英語圏とスペイン語圏では発音が全く違う場合あり。
アグレッシブな攻防が続く中、第2ラウンドにアハメドが中村健甚をロープ際に詰めたところでパンチではなくヒジ打ちがヒットし中村がノックダウン。背中越しで見えなかったが、パンチのようなバチンといった音でなく、ゴツンと当たる音だったという周辺。フラ付きながら立ち上がろうとするもカウントアウトされた。

◆第8試合 67.0kg契約3回戦
カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family/ 66.15kg)4戦2勝2敗
VS
柳將元(=リュウ・ジャンウォン/韓国/ 65.9kg)4戦4勝
勝者:柳將元 / 判定0-3
主審:竜矢
副審:少白竜27-30. 椎名26-30. 勝本26-30
アグレッシブな攻防から徐々に柳將元の組んでのヒザ蹴りが効果的にヒット。第3ラウンドには柳將元のパンチか蹴りが(ハイキックの情報あり)ヒットし、カツヤがノックダウンも激しい攻防続く中終了。柳將元が大差判定勝利。

◆第7試合 ミドル級3回戦
KENTA・PUAKUTA・SHONBIN(DEAD HEAT/ 72.45kg)4戦1勝2敗1分
VS
一虎(=イーフー/1987年中国山東省出身/ 72.15kg)9戦6勝3敗
勝者:一虎 / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:竜矢28-29. 椎名28-30. 勝本28-30
少林寺僧侶という一虎の左右のロングフックは豪快さがあった。KENTAもパンチ蹴りでアグレッシブに出るが、一虎も動じず蹴り返し、両者スタミナ消耗しながら第2ラウンドから勢い上げて来た一虎が攻勢維持して判定勝利。

◆第6試合 63.0kg契約級3回戦
野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 62.85kg)3戦3勝
VS
清宮拓(GODSIDE/ 62.9kg)9戦2勝(1KO)6敗1分
勝者:野竹生太郎 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田30-26. 椎名30-26. 勝本30-26
初回、パンチとローキック、スピーディーに野竹生太郎が先手打ち、早々に左ハイキックでノックダウンを奪った。野竹が攻勢を維持し、多彩に攻めるも清宮拓を仕留めるには至らないもどかしさを残しながら優勢を維持した大差判定勝利。

◆第5試合 81.0kg契約3回戦
オマル・ファーレス(稲城/ 80.4kg)3戦1勝(1KO)2敗
VS
ワグナー・カリオカ(ブラジル/ 80.3kg)10戦7勝3敗
勝者:オマル・ファーレス / KO 3ラウンド 1分59秒
主審:竜矢
初回、パンチ中心の攻防はややオマル・ファーレスが優り、第2ラウンドもオマルがパンチから蹴り、ヒザ蹴りで追い込み、右ストレートでワグナーは大きく仰け反ってスタンディングダウンとなってもいいぐらい後退するも、第3ラウンドにはオマルがパンチ連打でノックダウン奪い、精魂尽き果てたワグナーは蹲ったままテンカウントされ、オマルがKO勝利。

◆第4試合 フェザー級3回戦
KAI・AKG(A-BLAZE KICK/ 57.1kg) 2戦2勝(1KO)
VS
柳權(リュウ・グオン/韓国/ 56.4kg) 2戦1勝1敗
勝者:KAI・AKG / TKO 2ラウンド 2分48秒
主審: 椎名利一
KAIのパンチ蹴りのヒットが優り、柳權の蹴られたら蹴り返す反撃も、KAIが上回るヒット。第2ラウンドもKAIの前蹴りか柳權がノックダウンの後、KAIのミドルキックがガードの上からでも強く蹴り込み、パンチ連打でノックダウンすると、ノーカウントのレフェリーストップとなった。
◆第3試合 65.0kg契約3回戦
小玉倭夢(無所属/ 64.7kg)2戦1勝1敗
VS
亀田蓮(亀田同志会/ 63.7kg)1戦1敗
勝者:小玉倭夢 / 判定3-0 (30-28. 30-26. 30-27)
ローキックとロングフック中心の亀田蓮。組んでの崩しが上手い小玉倭夢が多彩に攻め大差判定勝利した。
◆第2試合 スーパーウェルター級3回戦
堀江耐志(Norasing Family/ 69.55kg)1戦1勝
VS
蘆立亮太(YS’K YAMAGATA/ 69.3kg)2戦1勝1敗
勝者:堀江耐志 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)
パンチの堀江耐志に蹴りで返した蘆立亮太。第3ラウンドにパンチでノックダウン奪った堀江耐志が判定勝利。
◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦
渡邉獅生(JTクラブ/ 54.95kg)1戦1勝
VS
ミツル(A X/ 55.15kg)3戦3敗
勝者:渡邉獅生 / 判定3-0 (30-26. 30-27. 30-26)
初回は渡邉獅生が圧倒した展開から倒し切れないミツルの踏ん張り。第3ラウンドにパンチで圧倒からフォロー的にハイキックで圧した形でノックダウン奪って判定勝利。
《取材戦記》
先回キック興行の「NJKF、6月の戦いKING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!」記事において“三日月蹴り”を“三ヶ月蹴り”と書いておりました。文字打ち間違いで意識から外れていましたこと申し訳ありません。
本日の全日本キックボクシング協会、今年2回目の興行「SAMURAI WARRIORS 挑戦2nd」韓国、中国、フランス、ブラジルと国際色豊かなカードとなった今回の興行。ライバル的存在ながら韓国選手の強さと粘りが進化した近年であり、交流戦としても充実した存在となるだろう。
瀬川琉が左ストレートで持ち味発揮した勝利は協会エース格の存在感を示した。野竹兄弟は課題を残しながらも今後の成長に注目の存在感を示した。
氏原文男は試合前、「オーシャン・ウジハラとして上に行きます!」と元チャンピオンとしての再浮上を宣言していたが、もどかしい展開で完敗。ただ心は折れていない表情。全日本キックボクシング協会で3連敗となったが、心身ともにまだ戦える様子。ベテランが勝ち星から遠ざかっても現役を続けられるキックボクシング界ではあるが、まだ39歳として頑張って欲しい。
今回の興行で二つのジムが加盟し、現在29のジムとなりました(韓国のSAMSAN含む)。昭和から続く名門のジムは無いが、新しいジム中心に令和時代ををどう盛り上げて行けるか。
「どうやれば客が入るか考え行動しなけらばならない!」と助言する関係者も居る中、次回の全日本キックボクシング協会「SAMURAI WARRIORS 挑戦 3rd」は10月5日に後楽園ホールに於いて初の日曜日枠確保となって開催されます。メインイベンターは瀬川琉か、野竹兄弟、広翔の出場はあるか。今後、後楽園ホールを満員にするスターは生まれるか。この団体の確立した競技を目指す姿勢に期待するファン、関係者は多いでしょう。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
